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第4話 採寸(4)(*)

「……そうでなくては」  テラの手が、顎から外れて、ハナの喉仏をなぞる。 「っ」  ぞくりとした。指先が接着しているだけなのに、喉仏が大きく動くのを止められない。肌が粟立つのは、果たして拒絶反応からか。それとも、鎖骨をなぞるテラの指に、認めたくないが、感じてしまっているせいだろうか。疑心暗鬼のまま、ハナはシャツ越しに体表をなぞられるままになっていた。 「んぅ……っ」  テラは無理強いせず、ハナが拒む一歩手前で触れるのを止めた。その回数が増すたびに、次第に脳髄から何かが溶け出し、拒絶するのが難しくなってゆく。 「は……っ、は……っ、ぁ、っ」  いつしか息が上がり、声が漏れてしまいそうになる。こんな姿を牧野が見たら、どんな反応をするだろう。また、牧野に言えない秘密が増えた。これ以上、感じたくないと思うほど、ハナばかりが昂る。  もどかしい接触に身体を捩りたいが、感じているのを悟られたくない。 「ふ……ぁ、っ」  だが、太腿の上にゆっくりと下ろされた手が接着した瞬間、それまで拒絶できていたはずの快楽が噴き出した。全身がしっとりと汗ばんで、心臓は痛いほどに鼓動を速めている。このまま死ぬのではと思うほど、のぼせて、ぼうっとして、いつの間にか心にもないことを口走ってしまいそうだった。 「……っ、ぃ、つ、まで、っ」  どれぐらい時間が経ったのか、わからなくなる頃には、視界が涙でぼやけていた。  身体を触られるぐらい、何でもないと思っていた。ぎゅっと握った拳を、どうにかほどいて深呼吸を繰り返す。こんな目に遭うぐらいなら、さっさとセックスでも何でもされた方が、どんなに楽か知れなかった。痛みになら耐えられるし、終わるまでは息でも何でも止めていればいいと覚悟していた。  過去を置き去りに、鋼のように鼓動している心臓を、手なづけられない。  やがて、テラが、おもむろに太腿に置いた手を、そっと横にずらすと、濁った視界が真っ白に振り切れた。 「ん、んっ、っ……!」  世界が跳ぶ瞬間を見た刹那、急に耳元でテラが言った。 「終わりだ」  まるでスイッチを切るように、唐突に愛撫が止んだ。  と思うと、膝の上から放り出され、強引に立たせられる。  よろめきながら、ハナがフラつく両脚を突っ張ると、テラは怜悧な声で言った。 「ま、初回はこんなものだろう。次は明日の夕方、十八時過ぎに、またきなさい。十二曲分の衣装のフィッティングを順次行っていくから、そのつもりでな」 「は──……はい」

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