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第6話 過負荷(2)(*)

 そっとシャツの裾をテラの指が持ち上げた。 「ちょっ……」  刹那、衣擦れの音とともに、テラの指先がシャツの中に潜った。 「ぁ……!」  脇腹を下から上に撫でられ、腕の付け根まできた指先が、鎖骨を通って、ハナの肋の浮き出た心臓の上を滑った。 「ま、待っ……」 「どうかしたか?」  唇を噛んで、正気に戻るよう、大きく呼吸を繰り返すハナに、テラは耳朶にそっと声を吹き込むようにして尋ねた。 「これ、脱ぎ、ます……」  言うなり、掴んでいたシャツの裾をめくり、脱ぎ捨てた。肌が空気に触れ、汗ばんだところがじわりと冷えはじめる。同時に、新たな熱が生まれ、楽になったと思った呼吸が、再び乱れはじめる。 「覚えのいい子は嫌いじゃない」 「今年、成人します。子ども扱い、しないで、ください……っ」  不機嫌に返せば、テラの冷たい手が、肌を無為に滑った。 「んぅ……っ」 「成人前なら、まだ子どもだ」  じくじくとかさぶたが膿むように、ハナの中心は刺激を欲しがった。ハナの肌を指先で味わっていたテラの指は、やがて、これまで掠めるだけだった両の乳首に止まった。 「ん、なとこ、感じな……っ」  ぎゅ、と押しつぶされた乳首に、頬が火照る。男のそれは、ただの意味のない突起に過ぎないと思っていたのに、やがてくにくにと弄られたり、乳輪をそろりと撫でられ、しつこいぐらいに繰り返される刺激に、敏感になってゆく。 「んぅ、そ、れ、ゃ……っ」  快楽で朦朧としはじめたハナに、テラが耳元で囁く。 「やめるか?」 「っ……」 「どうする? きみが逃げ出しても、全く問題はないが」  ないが──。  逃げたらこれで終わりだと、言外に仄めかされる。 「ゃ、め、ない、で……っ」  悔しげに唇を噛むと、テラは満足げに口角を上げた。 「……そうこなくては」  ぐらぐらと揺らぐ理性にしがみつき、ハナが反応を返すのを、まるでテラは楽しんでいるようだった。経験と知恵があれば、これしきの快楽など、見ぬふりができるのかもしれない。だが、ハナは、悔しさに涙を溜めることしかできなかった。 「っぁ……!」  瞬間、ぐり、と乳頭を潰され、声が出てしまう。 「膝を、開いて」  言われるまでもなく、両脚が自然と開いてゆく。  熱い。  悦い。  イきたいと感じるほど、ひとりで昂ぶっている。 (好きじゃ、ない、のに……っ) 「ぁ、ぁっ……」 (どうしよう、気持ちいい)  嫌なのに、どうして──。  スラックスの前がきつい。  腹の中がじわりと潤む。  テラの愛撫に、匂いに、こんなに反応してしまうなんて。

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