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第7話 葛藤(2)

 どうしよう。ただ、オメガがみんなとどう違うか、知りたかっただけなのに。こんなに悩むぐらいなら、「バース性とジェンダー論」なんて講義、取らなければ良かった。  ハナは恋愛というキーワードに、咄嗟に牧野のことを思い出していた。牧野といると、ドキドキするし、優しい気持ちになれる。これが恋なのだとしたら、すとんと納得がいく。  しかし、ハナは同年代の友人で、バース性も含め真剣な話をする相手がいなかった。彼らの愛だの恋だのいう感情が、自分の抱く気持ちとどう違うのか、検討することすらかなわない。  牧野はベータだが、優しくて、たくさんハナを褒めてくれる。ハナが「フィオーレ」の曲を歌い踊るのを見て、可愛いと言ってくれる。だから、牧野に抱くような気持ちを、恋と呼ぶのじゃなかろうか、とハナは思っていた。  いや、むしろ、これが恋でないと、誰に断言できるのだろう。 (牧野さんへの、この想いが、恋、なのだとしたら……)  確たる証拠を得られないまま、ハナはテキストを閉じ、席を立った。

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