65 / 108
第15話 7つの理由(4)
「さ、眠りなさい。明を呼んでこなければ」
「テラ、ぼく、は、知らな……」
思考回路の回らない頭で、必死にテラの言うことに、ついていこうとしたが、突発発情を無理矢理に押さえ込んだ薬の副作用のせいか、急激な眠気が襲ってきた。せめて視線だけでもテラを追おうと巡らせると、そっと暖かなテラの手が、ハナの瞼を閉じさせた。
視界が暗闇に包まれ、深い眠りに落ちてゆく。
テラの言葉に抗えず、呼吸が穏やかになってゆく。
ギシッ、とベッドが静かに揺れ、テラがハナの顔の横に手をついたのが、かろうじてわかった。
「最後の理由は──」
額に、暖かく小さな温もりが触れ、すぐに離れていく。
(わたしが、きみを愛してしまったからだ)
だが、テラの声は、その時、既にハナには届かなかった。
ともだちにシェアしよう!