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第19話 懊悩(3)(*)

 もっと触ってほしい、とねだって、ふしだらだと思われるのが、怖い。  テラが引いてしまったら、死ぬほど後悔しそうで。テラが欲しいのだと、どうやって伝えたらいいか、わからない。耳朶を食まれると、ツキン、と身体の奥から鮮やかな甘さを伴った衝動が湧き出して、困った。 「あ、あの、……っ」  ハナがあたふたし出すと、テラは静かに笑い、身体を離した。 「今日はここまでにしよう」  一方的に線を引かれて、ハナは少しだけ失望する。自分のあさましさを、テラに悟られるよりは良かったが、煩悶するハナに、何か不満があるとしても、テラは、それをおくびにも出さない。  それゆえに、ハナは、具体的に話し合う術も持たず、改善点を問うこともできず、密かに懊悩を続けた。

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