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第20話 恋というのは(3)(*)
「あの……っ」
「ん?」
テラは優しく「触れるが、いいか?」と訊く。頷いたハナの耳朶を犬歯で甘噛みし、背骨のラインを右手で辿られる。腰骨を大きな手でつかまれて、鼠蹊部へと親指が流れると、それだけで満足しなければならないのが、試練になっていく気がした。
「あの、あまり、されると、その、ん……っ、こま、困る、ので……」
あらぬ場所が、テラの指先に反応してしまう。テラの身体もそうだったから、きっとたくさん我慢させているのだとわかった。
「ああ、我慢させてしまったか」
ハナが自分の状態を、思い切って言葉にして伝えると、テラは微笑して、身体を引いた。
「おいで。してあげよう」
「で、も……っ」
「いいから。まかせなさい」
言うと、上半身をベッドヘッドにもたれかからせた姿勢になり、脚の間にハナをすっぽり抱いてしまう。服の上からの軽いタッチにもかかわらず、ハナが、興奮を隠せなくなる過程を見るのが、楽しいとでも言いたげなテラの表情が、少しずるいと思う。
「少し脱がすけれど、かまわないかな?」
頷くハナの了解を取り付けて、乱れた襟からのぞくうなじに軽く息を吹きかけてくる。
「んぅ……っ」
肌が総毛立ち、反応してしまう。敏感になった身体を晒して、胸の飾りを乾いた暖かな指でつままれると、ゾクリと何かが身体を駆け抜けていった。
「ぁっ、そ、それ……」
「きみの好きなところだ」
「そ、んな、こと……っ」
「好きだろ? きみが悦ぶ顔が見たい」
「はぁ、ぁっ……」
キスとともにテラの手が、性的な意図を持ってハナの身体の上を這い出す。テラの愛撫は巧みで、胸の尖りが感じるところだと、ハナに最初に教え込んだのは、テラだった。
「ん、く、っふ……ぁ」
テラの手にかかると、花弁が開きゆくように、ハナの身体が開いてゆく。素肌が晒されると、かすかな衣擦れ音や、わずかな動きに攪拌される空気の匂いにすら、感じてしまう。テラの指は、そのままハナの小さな尖りを、両方、潰したり転がしたりする。くにくにと刺激され、先端が尖ってくるのを、揶揄されながら可愛がられると、いつもはしたなく勃起してしまうのが、恥ずかしかった。このまま大きくしてしまい、テラの不興を買いたくないというハナの意志を、身体は簡単に裏切る。
「ぁっ、ぁふ、ぁっ、ぁ……ぅ」
行き場をなくして握り締めた指を取られ、「あれほど、ほどくように教えたろう?」と柔らかくキスをされると、もう何が何だかわからなくなってしまいそうだった。
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