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第21話 出立(3)(*)
「ぁ……」
波が、生まれようとしている。
(くる……っ)
テラの匂いと相まって、息を吸い込むたびに、身体中が快感に痺れてゆく。衣服の前を解かれ、はしたなく蜜に濡れそぼった下着を静かに下ろされる。
「ぅぁ、ぁっ……」
勃起した裏筋を、手入れの行き届いたテラの指先が、直接なぞり上げると、快楽が弾け、膝が震えた。きれいに切りそろえられたテラの指を、ハナの先走りが汚してしまっている。倒錯的な想いにかられたハナは、抵抗もできず、テラがのしかかってくるのを見ていることしかできなかった。
組み敷かれ、今日、初めて、唇にキスをされる。歯列を割って入ってきた灼熱の舌に絡め取られ、頤をそっと引かれ、中を蹂躙される。もう片方の手が下へと移動すると、静かにハナの鼠蹊部をなぞった。
「んぅ、ん、んっ……!」
弱い場所を暴かれて、びくびくとあさましく、ハナの身体が反応する。まだ肝心の部分は触れられていないにもかかわらず、既に下生えを濡らすほどの蜜を滴らせていた。なのに、テラはまだ、半分も本気の顔をしていない。
「テラ……ッ、ぁ、ぁあ、っ、ハンカチ……ッ」
もう先走りに白いものが混じりそうで、ハナは自身の指を噛んだ。このままでは、テラの服を汚してしまう。
しかし、テラはやにわにキスをやめると、嫣然と微笑んで言った。
「ハンカチは使わない。今日は口に出しなさい」
「ぇ……っ?」
一瞬、意味がわからなくて、頭が空白になる。
それ以上、テラは説明せず、そっと頭を伏せ、やにわにハナの勃ち上がった先端に口付けた。
「っひ……っ」
やっとその意味を悟ったハナは、思わず腰を引こうとした。足を蹴り出し、テラの愛撫を初めて拒もうとする。が、腰を抱かれて、脚の間に身体を入れられ、引き寄せられると、ハナの抵抗はことごとく封じられた。そのままテラの口内へと、自身の屹立が誘い込まれる。
「ゃ、ぁ、ぁっぁ! 熱、っぁあ……!」
灼熱に咥えられ、舌先で先端の鋭敏な切れ目をなぞられると、許容量を超える悦楽が全身に走った。ハナは、意図せず腰を動かし、手でテラの髪を乱して抵抗し、それでもかなわないと知ると、哀願し、泣いて、最後にはテラの口内へ、ガクガクと腰を突き入れた。
「ぉ、願、っ、も、ゃ、ぁあ……っ! で、ちゃ……っ!」
粗相をした時より、理性が残っている分、死にたくなるほど恥ずかしい。
陥落したハナの腰をがっちりとホールドし、放出とともに最後の一滴まで嚥下したテラが顔を上げる頃には、ハナは両手で顔を覆ったまま、静かに肩を震わせていた。
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