97 / 108

第21話 出立(10)(*)

 意を決したハナが呟くと、上腕の柔らかいところを、テラに噛み付かれた。今まで噛まれたことのなかったその場所が、テラに歯を当てられただけで、性感帯に変わるのを感じる。 「きみのいいところは、全部わたしのものだ」 「ひぅ……っ」 「わたしのものになってくれ、ハナ」 「……──っ」  喘ぐハナに、テラはたくさん痕をつけていく。乳首は吸われて赤く尖り、感じる場所にくまなく印を施された。身体中を愛撫され、それまではただの皮膚だった場所が、次々と新たな性感帯に塗り替えられていく。  テラが、下着越しに存在を主張している、ハナの先端の割れ目を、指でこそげた。 「ひん、っ、ぁあっ」 「腰を上げて」  下着を下ろすために、ハナにその動作を強いる。  羞恥にまみれながら腰を浮かせると、唯一、ハナの肌を覆っていた布地が取り去られる。 「膝を、ひらいて」 「っ」  テラの身体が脚の間に入った状態で、膝を開いたらどうなるか、わかる。できない、と目で懇願したが、テラは微笑して待っている。 「このままずっとこうしているつもりか? わたしは楽しいが」 「ぅ、っ……」  揶揄されると、負けず嫌いな一面が顔を出し、ハナは、じりじりと膝を開くことを、自らに課した。拳二つ分ほど、脚を開くと、膝裏を肩につくほど持ち上げられ、変な声が出てしまう。 「素敵な眺めだ。……もうこんなにしているのか」  テラの視線のある場所が、熱を感じて頭をもたげる。その裏筋にテラの人差し指が接着し、下から上へと撫で上げた。 「はっ、ぁあっ」  たまらなくなり、ハナが喘ぐと、テラは片方の膝裏を持っているよう言った。  羞恥にまみれながら、自分の膝を片方、持ち上げる。するとテラの指がハナの雄芯を握り、上下に扱いた。 「ぁ、ぁっ」  濡れた音が、ハナの羞恥を煽り、継続的に与えられる快楽に、次第にわけがわからなくなってゆく。  後蕾にテラの指が接着した頃は、前からトロトロと透明な液が垂れて、腹や下生えを濡らしていた。感じていることを知られた状態で、あられもなくその場所を晒すのには、かなりの葛藤があった。ぴたりと閉じた状態の後蕾を、揉み込むように指が接着し、オメガの愛液で濡れたそこを、くち、ぬち、と音を立てて捏ねられる。 「力を抜いて」  やがて、後蕾がわずかに綻びをみせ、テラの指に吸い付くような動作をはじめた頃、テラは囁くと、一本だけ、指をハナの内部へねじ込んだ。 「そう。上手い。──ああ、きみの中が、うねっているのがわかるか?」 「ぁ……ぅ、っ」

ともだちにシェアしよう!