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第21話 出立(12)(*)
「ゃ、っだ! テラ……ッ、ぁ! ゃぁ……っ」
「隠さなくていい。わたしを求めている、証拠だろ?」
首を振り、震えながら、それでも片足を持ったままのハナを、そう言ってテラは宥めた。
オメガの後蕾は、感じると濡れる。それぐらいはハナにも性教育の基礎知識としてあるが、愛する人にそのあさましいさまを、間近に見せられるかどうかは、また別問題だった。
テラに、丁寧に舌を使われるに従って、ハナの脳裏で渦巻いていた喜悦が噴出し、視界が真っ白に弾ける。
「ひ、ぅ……!」
快楽の源泉を突かれ、屹立を愛撫され、舌で襞を潰すように練られる。与えられる愉楽が深いほど、理性と本能を乗せた天秤が、激しく揺れ動き、狂っていった。
指が二本に増やされ、三本目を飲み込む頃になると、ハナは既に半ば飛びそうな状態にまで追い詰められた。一度も散らされたことのない蕾が、ヒクつきながら、テラの指をしゃぶる。未開の地が耕されたことを確認すると、テラはやっとハナに、膝から手を離していいと告げた。
後蕾から静かに指が抜かれ、その時になって、やっとテラが衣類を脱いだ。ギリシア彫刻のような、無欠の身体にハナがぼうっとなっているうちに、熱杭の先端が、綻びはじめた蕾の襞を押し潰すように、くちゅり、と接着される。テラは、屹立をすぐに入れようとはせず、雄芯の先端で、蕾を擦るように腰を振り、ゆっくりと遊ぶように、その時間を味わった。後孔に、剛直を前後に擦り付けられているだけなのに、腹の中が潤んで、じわじわと熱を持ち、疼いた。ハナが、言葉にならない声を、はしたなく上げると、やがてゆっくりと接した熱が動きを止め、テラに尋ねられた。
「きみの中に、入っても……?」
「んっ……」
ハナは囁くように言われ、感無量で頷いた。テラはいつしか苦しげな、余裕のない表情になり、ハナを組み敷いた。ずっと持っているよう言われた片足を、肩に担ぎ、焦点を定め、薙ぐように入り口に向けて、熱杭をゆっくりとした速さで挿入しはじめた。
「はっ、ぁ、っ、ぁあっ、テラ……ッ、ぁ!」
「く……」
太く硬い杭で穿たれると、天を向くハナの屹立から、ドロリと白いものが吐き出された。
「ぁ──……っ」
しかし、潤んだ後蕾への侵入は止まず、先端の一番径の太い部分が挿入ると、少し引いた腰を、テラは一息に突き上げた。
「んっぁああぁぁっ……!」
最速で再奥を突かれた衝撃に、ハナの中から、何かがあふれ出した。
「入れただけでイくとは」
視界がぼやけ、涙が溢れたことに気づいたハナの眦を指でなぞり、テラは少し苦しげに眉を寄せ、呟いた。
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