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第21話 出立(14)(*)
「ぁっ、ぁ、ぁぁ、っ、ぁ」
刹那、ひときわ深く抉られ、意味のない喘ぎ声が、出る。再奥に届いたテラの先端から、もったりとした重い熱が、放出されたせいだった。
「んん、っ、熱、あつ……、っ」
フッ、とひと息で吐ききったテラに、熱塊をぐりぐりと、出した白濁を、さらに壁面に塗り込められるように、動かされると、その動きにすら感じてしまい、ハナは腰をくねらせ、喘いだ。
「はぁっ、はぁ……っ、はぁ、っ」
律動に継ぐ律動に、身体が悲鳴を上げていた。波が穏やかに引いていく。が、浅瀬に残された悦楽の欠片はそのままだった。
こんなに凄い交わりが、この世に存在することを、初めてハナは知った。もう、きっと元には、テラを知らない頃には戻れない。
テラの逞しい腕に抱かれながら、満たされたハナは、小さく溜め息をつき、目を閉じた。
*
何度交わり果てたか、わからなくなる頃、気がつくとテラの腕に抱かれ、目を閉じていた。
わずかに身じろぎすると、テラがそっとこめかみにキスをくれて、目が覚める。
「あ……、ぼく……?」
「気がついたか。飛ぶまで抱いてしまって、すまなかった」
「い、いえ」
そういえば、身体のあちこちから疼痛のようなものがする。腰が重くて怠かったが、それはテラに愛された証だった。
そうか。
テラのものになったのだ、とハナは思った。
身体は簡単に清拭されていたが、上半身を起こすことが、かなりの難事業だった。その上、テラに愛咬の痕を撫でられると、また昂ぶってしまいそうだった。
「飛行機、乗り遅れちゃいましたね……」
ベッドヘッドの時計を見ると、もう午後五時を回っていた。昼過ぎにきたのだから、四時間以上の長丁場だったのだ。テラはまだ名残惜しげにハナの肌を見ていたが、見下ろせば肌がヒリヒリして、きっと視線の届かないところまで、噛み跡や引っかき傷があるはずだとハナは思った。
「大丈夫か?」
「はい……。テラこそ、その……」
「ん?」
あらためて半裸のテラを見ると、主に背中や肩口に、赤くなっているところが集中していた。ハナは自分が無意識のうちにやったのだと知り、真っ赤になってしまった。
「かまわないさ。きみは可愛いな」
「そ、それは……あ、りがとう、ございます……?」
「きみの声はクる」
「ん、テラ……」
伸び上がってキスをされ、ハナはこれが現実だと知れて、どこか落ち着かない気持ちになった。テラは、あれだけ激しい咬合のあとだというのに、まだ離れがたいという所作で、ハナを煽るともなく煽る。
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