9 / 17

第9話伊藤side

こんばんは。伊藤です。 私事ではございますが、驚いたことがございまして、それは私の大切なお方、『康太さん』のことです。 康太さんはこの頃大学から帰って来るとすぐに自室へ行き、籠りっぱなしなのでございます。 何かあったのでしょうか。私はまだこの時には疑問にしか思っていませんでしたが、某日それが確信になりました。 それというのはそう。 これもまた珍しくて驚きましたが、康太さんのご学友の方とご一緒に登校なされるということで駅にまでお送りし、お屋敷に戻っている最中でした。 康太さんから至急戻って来て欲しいとのご連絡。 私は急いでしかしここで交通事故に遭ってはなるまいと思って法定速度を守り運転しました。 駅に着きましたら私が康太さんの乗る席のドアを開ける前にご自分で開けてお入りになられました。私はとても驚きました。 康太さんはいついかなるときもこのようにお入りになることはございませんでしたので目を丸くしてしまいました。 こうしてはいられない。 康太さんはとても急いでらっしゃるので安全運転で急ぎました。 お屋敷に着いた途端やはり自室へとお入りになりました。康太さんは幼い子が宝物を見つけた時のような表情をしていました。 お茶を入れようと思い、キッチンに向かいましたところ康太さんに 「伊藤!今日の夕方から俺はテレビを見る。」と言われとても驚きました。 こ、康太さんがテレビを!? 私は驚きが隠せず顔に出てしまいそうです。あ、もう出てるのではないかとも思ってしまう。 康太さんの身に一体なにがあったのでしょうか。 「かしこまりました。しかし、康太さんがテレビをご覧になるなんて何かあったんですか?」 聞いてみましたところ、最重要事項だそうでそれは大変だ。 テレビは一応最新を置いてあるので買う心配はありませんが何しろ使っておりません。大丈夫だとは思いますが万が一…、と思いつつリモコンの電源ボタンを押しますが、 あ、つきました。大丈夫そうでよかったです。 さて時枝七彩さんでしたね。その方がご出演なされる番組を録画いたしましょう。 康太さんがあのように変わったのはこの時枝七彩さんの影響ですかね。 私も調べてみましょう。

ともだちにシェアしよう!