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「大人気」

「じゃあ、快斗が皆と遊びたかったら、行こっか」 「ん。分かった」  それで、その事についての会話は終わったのだけれど。  家に帰ったら、快斗がスマホを見て、うわー、と言う顔をした。 「どしたの?」 「啓史、皆に連絡したな…愁の居るグルーブも結構入ってる」 「んー?」  自分のスマホも開いてみると。  うわ。色んなグループ、すごい連絡きてるし。 あれれ……。 「グループじゃない方も結構入ってきてる」  ちょっとげんなりして、快斗がスマホをテーブルに置いた。 「……返事するだけで相当時間かかりそう」  快斗が疲れたように言うので、少し笑ってしまう。 「皆、快斗と会いたいんだろうね……」  そうだよなー、送別会、すごかったもんなー……。   「オレだって、皆の顔を見たくない訳じゃねーんだけど…でも今回は、愁と居たいし」  うーん、とぶつぶつ言いながら、テーブルに突っ伏してしまった。 「……どっかで1日遊ぶ日つくれば?」 「――――…んー…」 「皆でさ、河原で花火でもするってのは?」 「……んー……」 「だってこれ、皆おさまんないんじゃない?」 「んー………分かった。花火くらいなら、いっか」  だいぶ渋々だったけど、快斗がやっと、そう言った。 「愁、いつがいい?」 「えー、別に、オレはいつでも……」 「……じゃあ明後日でいい?」 「うん。いーよ」 「もうコピペで一斉送信で返事しちまう。ちょっと待ってて」 「うん。あ、オレなんか飲み物買ってくる。何飲みたい?」 「んー……なんかお茶」 「りょーかーい」  スマホに仏頂面してる快斗に笑いつつ、靴を履いて外に出た。  なんだかなあ。  ……ほんと大人気なんだからなあ。  男女問わず、皆が快斗を好きだったなあ、なんて、改めて思い出した。  1人で自販機を目指して歩きながら、少し息をつく。  皆が快斗と遊びたがるのに、快斗が、愁が、愁と、愁に、と、そればっか言うから、何回かオレが怒られた事あったっけ。 特に、女子に。  オレの名前出さないで、って、快斗に怒ったこと、あったなあ、オレ。  ―――……それから、皆の前では、オレの名前、あんまり出さなくなって。  変わらずオレ達は遊んではいたけど、快斗は、用事ある、とだけ言うようになって。なんかそれはそれで、皆には、仲良しじゃなくなったように見えたらやだなあとか。 …意味わかんないこともあったっけ。  オレ。 こんなに快斗のこと、好きすぎるけど。分かってるけど。  結局、一歩踏み出せなくて、快斗を選べなかったら。  ――――……快斗は、オレの側からは、居なくなるのかな。  振られてから考える、なんて昨日言ってたけど――――…。  快斗は、快斗のことが大好きな人達と、遊んで、その中から、きっと、また好きな人、見つけて――――…オレに言うみたいに、好きって、言うのかな。キスしたり、するのかな。……するよな、そりゃ。 「――――………」  …………やっぱり、嫌、かなぁ ……。    快斗とは、ずっと…居たい。  ――――……できたら、ずっと。  年とっても、ずっと一緒に、楽しい事して、笑ってたい。  もし。親友で居られるかを聞かれるなら、即答できるんだけど…。

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