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「兄貴と3人」
楽しそうな二人の会話を、笑いながら聞いていると。
兄貴が、ふと、オレ達を見比べた。
「にしても、離れても、結局お前らって、二人で居るんだな」
「……?」
「愁が毎日電話してんの、お前だろ? 夕飯食べてから、寝るまでずーっと繋いでるよな? 隣からずーっと、ぼそぼそ声が聞こえるし」
クスクス笑って、兄貴が言うと。
「……オレが愁と話したいからさ」
「――――……お前、ほんとに、愁のこと好きだよな」
「うん。好きだよ」
快斗は、兄貴にはいっつもこんな感じ。
他の人には言わないけど、兄貴には何も隠さない。
……前までは別に良かったんだけど。
「――――……」
違う意味の好きだったことを知ってる今となっては、ヒヤヒヤしてしまう。
「で? こっちに帰ってきてる間も、二人でずーと一緒?」
「うん、そう」
「へー……」
「……あ、でも今朝、オレが帰ってきてんのが他の奴にバレちゃてさ。明後日は仕方なく色んな奴と会ってくるけど」
「仕方なくとか言うな」
兄貴はめちゃくちゃ、苦笑い。「内緒ね」と快斗が笑う。
「あ、愁、オレお茶が飲みたい」
「え?」
「持ってきて?」
兄貴に言われ、「麦茶?」と聞く。そしたら快斗まで、オレコーヒーが良い、なんて言いだして。
「……分かった、持ってくる」
二人を部屋に残して、一階のキッチンへ。
「母さーん、コーヒー淹れてー」
「誰が飲むの?」
「兄貴と、快斗」
「……はいはい」
母がコーヒーの用意をしてくれているのを横目に、麦茶を三つグラスに注ぐ。
――――?? ……なんか、オレ、追い出されたのかなー……??
結局コーヒーと麦茶を三つずつトレーにのせて、2階に上がる。
「兄貴ー、開けてー」
「おー」
かちゃ、とドアを開けて、トレーを受け取ってくれる。
「遅かったな」
クスクス笑われる。
「だって、母さんがコーヒー、ちゃんと淹れだすから……」
「はは」
「おかえり、愁」
「うん」
快斗に返事をしつつ。
兄貴がテーブルにトレーを置いたので、その近くに座る。
飲み物ふたつずつ、三人それぞれの前に置いて、麦茶を飲んだ。
「ありがと、愁」
快斗がそう言いながら、コーヒーを一口飲んだ。
「何話してたの?」
オレは普通に聞いただけなのだけれど。
快斗と兄貴は、ぱ、と顔を見合わせて。 ぷ、と笑った。
「別に。大した話はしてないよ」
「……ふーん?」
快斗の返事にそう返してたら。
「そうそう。大した話じゃない」
兄貴が笑いながら、麦茶を一気飲み。
「まあ。快斗が、相変わらず愁を大好きっていう……確認?」
「宗兄……」
快斗が苦笑いで、兄貴を見てる。
「なにそれ…… どういう意味?」
「――――……昔から変わんねえなー、て、意味」
兄貴の言葉に首を傾げつつ。オレは、快斗に視線を向ける。
でも、快斗はふ、と笑うだけで、特に何も言わない。
もしかして……兄貴は、知ってる、のかな……?
なんて、思う。
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