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「はて??」

「……あっつー」 「すっげームシムシすんなー……」 「……運動やめ。死にそう。 近くの店いこ」  オレの言葉に、快斗も苦笑いで頷く。 「アイス、食べよ、快斗」 「コンビニ行くか」 「うん」  二人で、一番近くのコンビニに歩き出す。  コンビニのイートインに座って、アイスを食べながらホッと一息。 「涼しいー 冷たいー」  言うと快斗はクスクス笑う。 「なー、快斗―……」 「……ん?」 「今日、日曜じゃん? で明日は空いてるけど、明後日は午前中勉強して、夕方から皆で花火じゃん? ……水曜はもう帰るだけだとしたら――――…… 快斗との時間て、もうほとんど無い気がするんだけど」 「……まあ、土曜の夕方からで水曜昼間に帰るんだから中3日だもんな」 「……そしたらまた、会えなくなるのかー……」  なんだかな。  既に、寂しい。 「……愁、オレとずっと居たいの?」 「……当たり前じゃん」 「――――……そっか」 「なんで? 居たくないなんて言うと思う?」 「……思わないけど」  快斗はふ、と笑う。 「な、快斗」 「ん?」 「明日は、快斗の好きなこと、しよ。どこ行ってもいいし、何してもいい。付き合うからさ」 「へえ――――……いいの?」 「うん。だって、もう明日だけじゃん、一日丸々空いてるの」 「……明日勉強は?」 「……んー、じゃ……アイス食べたら、帰って、今日勉強する?明日の分」 「分かった。じゃ、そうしよ。明日のことは、考えとく」 「うん。何でもいーよ?またしばらく会えないし、思い出つくろ」 「んー……何しようかなあ……」  快斗が嬉しそうに笑うので、オレも、ふ、と笑った。  アイスを食べた後は、快斗の家に行って、二人で勉強。 「――――……」  ……二日分するとか言ったくせに、全然、身が入らない。  勉強してる振りしながら、目の前の快斗を見つめてしまう。    昔から、大好きだった、快斗の顔。  下向いて、勉強してる姿だけでも、絵になるというか。   女の子なんか、もう、ほぼ皆が快斗のこと、カッコイイって言ってた、と思う。男のオレから見たって、ほんと、カッコよくて。  カッコイイ、のが、顔だけじゃなくて。  リーダーシップもあって、優しくて、運動もできて、なんかまるごと全部カッコいい。 小学生ん時から今まで、快斗みたいに人に好かれる奴、他には知らない。  オレが快斗を好きなのは、皆と一緒。  誰だって、快斗のこと、好きになると、思う。  ……はて??  だから、何で、そんな快斗はオレを好きっていうのかな。  何回も何回も。ていうか、もはや、何百回も、浮かんでくる、同じ疑問。きりがない。  どんなに皆に好かれて、どんなに皆が快斗と一緒に居たがっても。  時には彼女と喧嘩してでも。  快斗はいつでも、オレを優先して、一緒に居てくれた。  ずっと、そうだった。今回帰ってきたのだって、オレと居たいって言って、他の友達には連絡してないのも本当みたいで。  これだけ何年も、ずっと居てくれてたっていう実績はあるので、居たいって思ってくれてるのは分かってる。それが友達としてっていうなら、そのまま素直に疑うことなんかなく、一緒に居られる。けど……。 「――――……」  そこでいつも通り、思考が止まってしまう。

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