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「堂々巡り」

「――――……」  快斗、キレイな手。指長いなー……。  シャーペン持ってるだけで、カッコいいって、何。  高校になったあたりから、肩幅広くなって、体つきが男らしくなって。  ますます、魅力的になって。超モテてた。  絶対、これからだって、ずーっと、モテると思うんだよね……。  何回も同じこと、思ってしまう。  こんなにカッコよくて、こんなにモテる人と、  そんな意味で付き合って、本気になって。  しかも、男同士でそんな関係になって。  いつか、やっぱり、女の子で好きな人が出来たって、捨てられたら。  ――――……オレは、どうなんのかな。  男しか対象にならなくなっちゃってたらどうしよう。  ――――……女の子に、戻れるのかな。  そんな事になる位なら――――……断って、少し気まずくなったとしても、そんな関係にならずに、友達で行った方が良いんじゃないのかなって思ったりもして。  自分でも、なんか、後ろ向きな、超消極的な考え方で、好きじゃないけど。  快斗の事、好きな気持ちは、きっと誰にも負けないと思う。  ずっとずっと、一緒に居て。  家族より、快斗と居た時間の方が、長いくらいなのに、それでも、嫌なとことか感じなくて、ただひたすらずっと、好きだった。  今も、離れても、毎日ずっと電話で話して。  ずっと、ずっと、大好きすぎて。  ……ただ、勇気がないのかなぁ、オレ。  快斗を信じて、受け入れたらすっきりまとまる話なのに。  そもそも、快斗がオレを好きな気持ちより、オレが快斗を好きな気持ちの方が絶対強いと思うし。 恋愛とか、友達とか、そんな区別は、正直良く分からないけど、ただ「快斗」が好きすぎて、一緒に居れたら幸せだと思ってるし。 「――――……」  もう、考えてると、止まることない堂々巡り。  ひどい、思考。  答えなんて、出せるんだろうか。  こんなに好きって思ってるのに、快斗がカッコ良すぎてモテすぎて、絶対いつかもっといい人現れるだろうなと思って、そしたらそん時どうなるの、オレ。なんて思って。  ああ、でも――――……  快斗、ほんと、カッコいいなあ……。  なんかもう悩んでる事とか、全部ポイ捨てして、快斗にいくのもありなのかもしれない。とかも、快斗を目の前に考えてると、思ってしまう。もう、いやになるほど まとまらない思考。 もう駄目だ……。  考えるの、諦めて、頬杖ついて、俯いてる快斗をじーっと、見ていたら。  不意に顔を上げた快斗と、ばっちり目が合った。 「……っ」  慌てて、教科書に視線を落とすけれど……  快斗に、ぷ、と笑われた。 「なんでそんなにずっとじーーっと見てんの? 全然勉強してないだろ」 「……っそんなことは……」 「愁の視線、感じるからね」  クスクス笑われて、いつからバレてたのかと、焦る。

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