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「快斗のしたい事」
「……兄貴、さっき超うるさかった……」
家に帰ってすぐ、オレがそう文句を言ったら、「あ?」と軽く睨まれ。
「家帰ったら母さんがお前ら呼んで来いっつーから、そのまま直で呼びに行ってやったんだよ。ありがたく思えよ」
「ピンポンと同時に叫ばないでよ……」
「何で? ――――……邪魔だった?」
……邪魔、って。
……どういう意味だよ……。
勢いを失ったオレに、横にいた快斗がぷ、と笑った。
兄貴に知られてると思うと、なんか、ものすごく居心地が悪い。
なんだかオレ的には気を使いながらの、食事が開始。
母さんは何もしらないし、快斗と兄貴は素知らぬ顔が上手なので、そこの三人はすごく楽しそうに話してる。
もういいや。会話は三人に任せよう。
そう思いながらオレがひたすら無言で食べていると。
快斗がオレを見て、ふ、と笑った。
笑わないでよ、と思っていると。
「あ、そうだ、おばさん、明日一日、愁借りますね」
「あら。どこか行くの?」
「まだどこかは決めてないんですけど。 明日の分も今日勉強するんで、明日だけフリーでいいです?」
「いいわよ~その代わり、愁。快斗くんが帰ったら、夏期講習死ぬ気でやりなさいよ」
「……うん。分かった。頑張る」
嫌だけど。しょうがない。頷くしかない。
明日快斗と一日遊ぶためだ。
「じゃあオッケイ」
やった。OK出た。
「何すんだ?」
兄貴が快斗に聞いてる。
「何しようかなあ……考え中」
ふーん、と相槌を打って、兄貴がちらっとオレを見る。
「愁は? 何したいの?」
「んー。……もう明日しか無いし、快斗がこっちでしたいことが、したい」
「……快斗がしたい事、ねぇ」
なんか意味ありげに快斗を見てるけど、快斗は、その視線を受けとめて、そのままスルー。
オレがドキドキしてしまう。
「んーどうしようかなあ……」
快斗はただただ、楽しそう。
一日遊べるのは明日だけだもんね。
楽しいこと、したいなあ……。
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