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「何されても?」
「愁、手、貸して」
「え? 手?」
そっと手をあげて、快斗の方に向けたら。
きゅ、と手を握られた。
「……これ、嫌?」
「――――……ううん。 ……ドキドキ、する」
そう言うと、快斗はオレをマジマジと見て。それから、苦笑い。
「……ドキドキするとか、言っちゃうんだもんな……」
あ、確かに、と思って黙るオレに、クスクス笑う、快斗。
手をつないだまま、しばらく、無言。
「あのさあ、愁」
「……うん?」
快斗を見るけど、快斗はオレを見ずに、天井の方を見たまま。
「愁はさ、謝んなくていいよ。オレが勝手に言い出した事で、お前はただ一生懸命考えてくれてるだけだし。何も、悪くないよ」
きゅ、と手を握られる。
何も悪くない、てことはないよな、と思う。
覚悟が決められないくせに、でも、ただ、快斗が好きすぎて、言ってることが一貫してないのも、分かってるし……。
困って黙っていると。
「……でもさ」
「――――……」
手がそっと離されて。快斗が動く気配がした。
動けないでいると。
顔の横に手がついて。
そのまま、ゆっくりゆっくり近づいてきた快斗に、そっと、頬に、キスされた。
仰向けに寝てるオレを、上からじっと見つめて。
「そこで、謝ってくれる愁のことがさ――――……すっごい好きなんだよ」
そう言われた瞬間。
どく、と。
ものすごい、鼓動。
じっと、まっすぐ、見つめられる。
布団の上で。
どんな意味でも大好きな人に、こんな風に好きって言われてキスされて、こんな風に見つめられて。
――――……拒否できる奴なんて、居るのかな……?
もうなんかオレ……。
このまま何されても、全然良いような気が、してしまう。
そんな風に自分の思った事に、ますます胸がドキドキしてくる。
「――――……」
黙ったまま見つめ合っていると、快斗は、ふ、と瞳を優しく緩ませて。
「――――……ほんと、愁、大好き」
最後にもう一度、頬にキスして。オレからそっと離れた。
「……ダメだ。一緒の布団はヤバいからやっぱ、戻るね?」
――――……なんて、言いながら、快斗が自分の布団に戻っていく。
オレ、めちゃくちゃ、覚悟したのに。
ドキドキドキドキ。
……離れても、心臓がヤバい。
「――――……っっ」
……オレ今。何されても良いって、覚悟しちゃったじゃないかー……。
もう……ドキドキが収まらないし。
……って。
……やっぱり、快斗に、何されても、いいんだな、オレ。
もしかして、そうなんじゃないかなとは、ちょっと思ってたけど……。
なんか、顔から、火が出そう。
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