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「かき氷」

「愁、かき氷食べるの、ほんと苦手な?」 「苦手じゃないし」 「いっつも最初からキーン、てなってるし」  ぷ、と笑いながらそう言う快斗に、べ、と舌を見せると。 「あ、もう赤くなってる」 「あ、ほんと?」 「うん――――……なんか……」 「ん?」  快斗が、耳元に寄ってきて。 「なんか赤くて――――……やらしいかも」  言われたことが分かった瞬間。かあっと赤くなって。  ぱっと快斗から離れると。 クックッと笑いだして。 「ほんと、良い反応。……可愛いな、愁」 「……っ」  ――――……人の気も知らないで、そんなめっちゃ笑ってると、ほんと、オレ怒っちゃうからな。もう。ほんとに。 「はいはい。機嫌直して、こっち向いて」  裸の肩、快斗に触れられると。  どき、として。  もう、素直に、快斗の方、向き直してしまう。  くす、と笑って、快斗はオレを見つめる。 「もう頭きーんとしてんの?」 「うん」 「はは。ほんとかき氷好きだけど、それ弱いよな……」  よしよし、と撫でられる。 「食べるのちょっと休憩。 ……快斗、写真撮って?」 「ん。いーよ」  快斗が携帯を出して、オレの隣に座り直した。 「はい笑ってー、3.2.1……」  撮影の音がして。快斗が確認。 「良い感じ」 「どれ?」 「ん」  快斗が見せてくれた写真。赤と青の舌で、楽しそうな。 「快斗の青、やばいね」 「だな」  クスクス笑いあう。 「べーしてみせて?」 「ン」 「生で見た方が色やばいかも」 「そう? ……写真、愁に送っといたよ」 「うん。ありがと」  そのまま、快斗がスマホを眺めてしばし止まる。 「どうかした?」 「んー。なんか明日、皆で集まる前に、昼食べようって連絡来てて」 「誰から?」 「このメンツ」  そのトーク画面のメンバーを見て。 「なるほど……」  去年の快斗が同じクラスだった人達か。 「なんか、明日夕方からの、ほんとにすっごい人数が集まってそう。どんどん増えてるみたいだな」 「そうなの?」 「なんか、オレが良く知らない奴とかも呼んでそう。ただ集まって遊ぼう的な感じになってンな」 「まあ……いいんじゃない、それでも。 皆適当に絡むだろうし」 「――――……まあ、そっちはいいけど……昼どうしようかな」 「うん……」 「オレは愁と居たいんだよ……てことで。夕方からってことにしてもらう」  そんな風に言って、少しの間スマホに触ってる。

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