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「普通のオレ」
「――――……皆、快斗に会いたいんだよね……」
「まあ久々だし。オレも会いたくない訳じゃないけど……」
言いながら、快斗は、ふ、と笑った。
「今回居られる時間も短いし。愁と居たい」
「――――……」
めちゃくちゃカッコいい瞳に、めちゃくちゃまっすぐ見つめて言われると。顔に血がのぼる。
「……あっつ……」
思わずパタパタ扇いでしまう。
どーしてオレをそんなに、好き??
……そんなにとか言っちゃうと、自惚れてるみたいで、なんかちょっとためらうけど。でも快斗の言う言葉聞いてると、もうそうとしか思えないし。
ほんと。どーしてなんだろう。
そこが……全然自分のなかに、ストンと落ちてくれないから。
……オレは快斗に、好きって、応えられないのかな……。
信じてない訳じゃない……。でも。
………何で快斗がオレ?……うーんうーんうーん……。
わかんない……。
「快斗、さっきの写真見せて?」
「ん」
少しいじって、写真を出して見せてくれる。
「――――……」
あっかんべーしてふざけてるのに、快斗だけカッコいいし。
……快斗は、何しててもカッコいいもんな。
「何? すっごい写真見てるけど」
快斗がクスクス笑う。
「いや……快斗、かっこいいなーと、思って」
「――――……」
「ほんと、カッコいいのに、なんでオレ――――……」
「は?」
じっと見られて。あ、と苦笑い。
「ごめん、なんか、すごく思っちゃって」
「――――……」
ぷ、と快斗が笑う。
「……何、しみじみ言ってんの?」
「――――……ん、だってさー……」
見れば見るほど、カッコいいしさー。
でもってとなりに映ってるオレは。うーん、どう見ても、普通……だよな。
二人の写真を見ていると。
この写真を見たすべての人が、イケメンの方つまり快斗が、普通の方つまりオレを、好きだと言ってるなんて、誰も信じないんじゃないだろうか。と、思ってしまって。
一人、本当になぜだろうと、うーんうーん、と悩んでいたら。
「……愁ってさ、オレが嫌われてた時のこと、覚えてる?」
「――――……ん?」
突然、快斗が、そんな質問を投げかけてきた。
はい? 快斗が、嫌われていた時のこと?
何それ。全く記憶にないんだけど。
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