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第18話
「そうだね、飛鳥くん達が特別なだけだよ…基本は同じ種族同士、魔法使いの扉は吸血鬼から身を守るために襖に結界を張ってて簡単には入れないんだ…ちなみに吸血鬼の襖は瑞樹でも英次くんでも入れるよ」
「…寮も安心じゃないんだな」
じゃあ英次は飛鳥くんと知り合いってだけで危ない目に遭うのか?飛鳥くんがいるから大丈夫だと思うが…魔法使いのフロアに空きがないのだろうか。
……俺の場合は嫌がらせも入ってるような気がするが、こんな事で挫けるわけにはいかないと自分に言い聞かせた。
人間の俺が入れるのは吸血鬼のフロアの襖だけのようだ、英次は魔法使いだから入れるだろう、部屋は吸血鬼のフロアにしかないけど…
玲音が襖を開けるとそこは長い廊下が続いていて、壁に襖が一つ一つ付いていた。
玲音は俺を隠すように前に立ち腕を引く。
すれ違う生徒達が玲音を不思議そうな顔をした後俺を見る。
ニヤリと鋭い牙が見えて驚いた。
狙いを定めるような目線にぞくりと悪寒が走った。
「…大丈夫、まだ瑞樹が人間だって気付いてないから」
「そう、か」
俺は周りを見る気になれず下を向いた。
…俺がこの視線に慣れる日はくるのだろうか。
長いと思っていた廊下だったがすぐに終わりに近付いた。
玲音が足を止めたから玲音の横から覗くとそこには襖があった。
襖の横には和風には似つかわしくない電子機器が設置してあった。
同じような襖が並んでいるから間違えないようにしないと部屋に帰れなくなりそうだな。
「此処が俺達の部屋だよ、ちゃんと覚えといてね」
襖には1020と書かれていた。
……これから俺の新しい生活が始まるのか。
そういえばこれからお世話になるんだし、管理人に挨拶ぐらいした方がいいのではないのか。
玲音にそれを言うと「今日寮長いなかったから明日挨拶すればいいよ」と言った。
いないなら仕方ない、そうするか。
玲音が襖の横の電子機器に何かをかざしてカチャとドアの鍵が開く音がした。
それを不思議に思い、玲音を見た。
「どうやったんだ?」
「あぁ、これ?携帯型の便利道具だよ、生徒は皆持ってて皆は携帯道具って呼んでるよ……部屋のセキュリティ解除やいろいろと使えるよ」
玲音が手に持ってたのはスマホ型の機械だった。
機能は普通のスマホ+さっきみたいにこの学院で使える様々なツールがダウンロードされてると説明してもらった。
鍵の他にも使えるがいっぱいありすぎて全部説明するのは大変だからとその時になったら教えてもらう事にした。
ちなみにこの場所は電波がないから普通の携帯は繋がらないみたいだ。
部屋に入ると意外と広く、ざっと見生活に必要な設備は全て備わっている。
しかし、襖の向こう側がフローリングとか…やっぱりちょっと不思議だ。
玄関から少し歩き右側に風呂場とトイレがあった。
「もし大きなお風呂に入りたかったら大浴場もあるよ!」
「へぇ…大浴場か」
あまり広いと落ち着かないし、滅多に行く事はないかな。
さらに少し進むと広いリビングがあった。
キッチンも広いし料理をする俺にとっていろいろ見てしまう。
とはいえ簡単なものくらいしか作れないけど…将来一人暮らしをする時のために覚えたんだ。
カウンターもあるなんて……これが一つ一つの部屋に設備されてる…金掛けてんのな。
もしかしたら吸血鬼とか魔法使いって金持ちなのかもしれない。
キッチンを見て考える俺に玲音はカウンター越しに見てきた。
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