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第39話

「っ!?」 「…瑞樹?」 玲音は俺の異変に気付いて心配そうに見ていた。 誓司先輩と目が合い、誓司先輩はとても嬉しそうに笑っていた。 ….…なんでなんだ?さっきまで元気なさそうだったのに… 誓司先輩に理由を聞こうと思ったが突然熱が全て下半身に持ってかれたように熱くなり、膝を付いて床に座り込んだ。 玲音は慌てたようにしゃがみ込んで顔を覗いてくるから逸らした。 今、変な顔をしているような気がするから見られたくない…はっ、はっ、と荒い息を吐く。 「あっつ…」 下半身が急に熱くなり、一人で立つのもしんどい。 玲音は心配そうに俺に肩を貸してくれて背中を擦っていた。 もうこの場には誓司先輩はいなくてこの争いは終わった。 俺がうずくまっていても周りは誰も気に止めなかった。 それが今は良かった、変に注目されたくはない。 とりあえず一度部屋に戻ろう、それからその後を考えよう。 「お腹が痛いの?」 「いや…痛いっていうか、熱みたいに熱くてさ」 帰り道、玲音に支えられて歩いていたからか物凄くジロジロ見られて居心地が悪かったが…そんな事より早く帰りたかったから早足で部屋に向かった。 せっかくの休日を台無しにして申し訳なかった。 寮の部屋の中に入り、玲音に原因は分からないが下半身が熱いと言ったら何処か玲音は顔を赤くしていた。 いきなり変な奴だと思われただろうな、息を吐くとだんだん落ち着いてきた。 リビングのソファーに座ると玲音も隣に座った。 玲音は言いにくそうにもごもごと口を動かして目もそわそわとしていて落ち着きがなかった。 「……お、俺…確認してもいいのかな?」 「確認?…そうだな、自分じゃイマイチ分からないし…見てくれ」 「わわわわっ!!!そんなあっさり言っちゃダメっ!!」 玲音に熱の原因を見てもらおうとズボンを脱ごうとベルトに手を掛けたら物凄いスピードで止められた。 見ないと分からないと思っていたんだがなにか間違っていたのか? もう落ち着いてるし昨日みたいに勃ってるわけじゃないから見ても平気だ。 好き好んで男の下半身は見たくないのは分かるが、どうすればいいんだ? 玲音は頬を赤くして必死に首を横に振っている。 なんで照れてるんだ?男同士だし、風呂とかトイレとか見る機会はあるだろ。 「瑞樹ごめんね、一度自分で見てなんかあったら医務室に行こう!!」 「…あ、あぁ…」 玲音に背中をぐいぐい押されて自室に押し込まれた。 なにかあったら…か、そこに何もなければそれでいい。 ベッドに座り…ズボンを脱ぎ、下半身を眺める。 自分で見た限りでは特に何も変わった事はない。 そこでふと誓司先輩の行動を一つ一つ思い出していた。 初めて会った時、誓司先輩は俺の内腿に触れていた。 ないとは思うがなんとなく足を開き内腿を見た。 そして目に写ったものが信じられず驚きで目を見開いた。 「……なんだ、これ」 そこには腫れとかはなかったが、変な紋様の刺青のようなのが浮かび上がっていた。 こんなものに見覚えはない、昨日まではなかった筈だ。 ……これは、痣とかそういうなにかの病気だろうか。 でもこんな病気見た事も聞いた事もない、この学院に来たから? ズボンを持ち玲音が待っているであろうリビングに向かった。 終わったのかもと思いソファーでくつろいでいた玲音はこちらを見る。 「瑞樹、終わっ…ぶぶっ!!」 「……玲音」 さすがに下着姿だったから玲音は驚いてソファーから滑り落ちた。 一刻も早く玲音にこの症状を聞きたくてズボンを穿く手間を省いたんだが、ズボンぐらい穿いとけば良かった。 もしかしたらこの病気は吸血鬼や魔法使いに関係あるのかと思い玲音に訪ねたかった。 大丈夫かと玲音に近付き手を差し伸ばしたが、後退りされた。 そこまで全力で拒否されるとさすがの俺も傷つく。 玲音はさっきの比じゃないほどに動揺して早口で俺に言った。 「みっみみ瑞樹!!何やってんの!?早く着替えてよ!!」 「…玲音、お前にも見てほしいんだ」 玲音には悪いが一瞬だけでも見てほしいと思っていたが、ふと冷静になる。 俺、なんか物凄い事を言っていないだろうか、玲音も目を丸くして俺を見ていた。 玲音が嫌がっているのに無理矢理見せるのは可哀想だ。 玲音の気持ちを考えず自分の事しか考えてなかったと反省する。 医者に見せれば全て解決するんだ、玲音に見せる必要はない。 そう思うと急に自分が恥ずかしくなり玲音に頭を下げる。 「いや、悪い…変なのがあったから玲音に見てほしかったが、嫌だったな」 「…え!?いや、むしろ見たい……じゃなくて!!なんで瑞樹が謝るの!?」

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