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第58話

※瑞樹視点 「本当に部屋まで付き添わなくてよろしいのですか?」 「大丈夫です、もう怠さもありませんし…玲音から迎えに行くって連絡がありましたから」 「……そうですか」 初めての時より体調が良くて驚いた。 何だか俺の体が少しずつ疲れにくくなっているような…気のせいだろうか。 下着は汚れてしまったから誓司先輩が新しいのを買ってくれて、それを穿いている。 服を着せてくれたりといろいろと世話を掛けて申し訳ないと思うが「恋人同士なので当然ですよ」と言われた。 まだ室内に甘い雰囲気が残っていて誓司先輩は俺を後ろから抱きしめてきた。 俺はそれに応えるように後ろを振り返り唇を合わせた。 「…んっ、ふっ」 「はぁっ、んっ…ふふっ」 誓司先輩は少し笑い、俺の尻をズボン越しに触れた。 昨日の事を思い出して体が素直に反応するが玲音を待たせてるし、行かなきゃならない。 小さな声で「…ダメですよ」と言うとすぐに止めてくれた。 誓司先輩のイタズラに苦笑いする。 玄関に向かって歩き、誓司先輩の方に振り返った。 軽く手を振ると大きく振り返してくれた。 何だか恋人というより新婚気分だ、あれ?誓司先輩は夫って言ってたからそれでいいのか? 部屋のドアを開けると壁に寄りかかってこちらに笑いかける。 俺はてっきり玲音だけかと思ったが意外な人物もいた。 「…飛鳥くん」 「……っ!!」 飛鳥くんと目が合うなり顔を逸らして、何処かに向かって歩いていってしまう。 傷付いた飛鳥くんの顔にどう声を掛けたらいいか分からず、とりあえず追いかけようと飛鳥くんが向かった方向に行こうとした。 しかし玲音に腕を掴まれてそれが出来なかった。 玲音は俺に「飛鳥くんはまだ子供なんだよ」と言っていた。 子供?どういう事だ? 部屋を出てきた誓司先輩は俺がまだいる事に少し驚いていた。 「玲音、子供ってどういう事だ?」 「瑞樹が昨日何していたか飛鳥くんに話しただけだよ」 玲音はチラッと誓司先輩を見つめると誓司先輩は全く気にした様子はなくドアに寄りかかっていた。 俺と誓司先輩がしていた事って…アレ…だよな。 もしかしてそれで飛鳥くんに気持ち悪いと思われて拒絶されたのか? それはそうか、実の兄が男同士でそういう事をしていたら普通に嫌だろうな。 飛鳥くんに嫌われてしまった。 落ち込む俺を見つめていた誓司先輩は玲音の方を向き睨んでいた。 「おい、瑞樹様は力を得るために必要な事なのはお前も分かっているだろ…ちゃんと説明したのか?」 「言ったよ、でも飛鳥くんは全く信じてなくて証拠にここに連れてきただけだよ」 俺が誓司先輩の部屋から出てきたら言い訳なんて出来ないだろう。 飛鳥くんを思うととてもショックだっただろう。 …でも、いつかはバレる事が少し早かっただけだ。 玲音は「一人にさせてあげよう」と俺に優しく肩を叩いた。 今は混乱しているかもしれないから、その方がいいかもしれない。 少ししたら飛鳥くんに自分の口から話そうと思った。 俺は制服に着替えるため、玲音と共に自分の部屋に戻った。 飛鳥くんに電話してみたが、電話に出てくれなかった。 メールももしかしたら見てくれないのではないかと思い放課後は紅葉さん達に会わなくてはいけないから昼休み、玲音に頼んでみた。 「来るか分からないけど、一応聞いてみるね」 「ありがとう、玲音」 そういえば英次は一緒じゃなかったのかと玲音に聞くと英次にも話したらしいが真実を知るのが怖いと来なかったみたいだ。 ……英次は分かっているのかもしれないな。 同じクラスだし英次には教室に行ったらすぐに話そう。

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