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第94話※架院とーーー

※瑞樹視点 「んっ、んぅ…あっ」 美しい架院様からは想像出来ないほど大きなものを口を開けて奉仕する。 口一杯に苦くも甘いものが広がり、興奮していく。 俺、なんでここにいるんだっけ……まぁいっか、そんな事… 架院様の指が俺の尻の奥に触れるときゅんきゅんと吸い付いていた。 早くほしい、架院様の欲望…もっと俺の中にほしい。 そう思うと、口の中にあったものがふくれて喉に注ぎ込まれた。 「はぁ、瑞樹のにおい…強くなった、我慢出来そうにない」 息が荒い架院様はそう言うなり、ちゅうちゅうと吸っていた俺の頭を外して覆い被さってきた。 自ら何も身に付けていない下半身を開いて架院様のを擦り付ける。 「まだ慣らしてないでしょ」と架院様が余裕なさそうに笑い、指をそこに這わせた。 早くほしいのに、慣らさなくていいのに…めちゃくちゃにして…… いや、違う…そうじゃない…俺はいったい何を考えているんだ。 頭が可笑しな事を考えるとそれを勝手に体が理解して動いていく。 架院様の事は好きだけど、お互い熱に浮かされて望まない事をしたって全然心が満たされない。 「あっ、あぁぁぁぁっっっ!!!!」 その瞬間、信じられないほどの快楽が俺を襲った。 恐る恐る下を見ると、架院様の指が入っていた。 ただ指を入れられただけで、俺…またイったのか? ゆっくり慣らすように動かされる指に少量の精液を吐き出す。 架院さんも我慢出来ないのか、俺の中を擦りながら自慰している。 熱い視線は俺に注がれていて、その熱視線に体がまた反応する。 頭がまた可笑しくなっていく、俺が俺じゃなくなっていく。 「架院様っ、俺で…イって?」 「可愛い瑞樹、僕のものだ」 グイッと腰を引き寄せられて、架院様のものをゆっくり…ゆっくりと受け入れた。 架院様を優しく包み込んで、今度は簡単にイかないように我慢した。 架院様に腕を伸ばすと、すぐに掴まれて唇を重ねられた。 ずんっと強く打ち付けられて、せっかく我慢していたのにイってしまった。 すぐに腹に熱いものが広がっていて、架院様も俺でイったのだと分かった。 一度イったからか、激しく中を擦られて気持ちよくて頭がぐちゃぐちゃになっていく。 「あっ!う、あぁんっ、あっあぁぁ!!!」 「瑞樹の中っ、嬉しそうに締め付けて…はぁ、イくっ」 「あぁぁうっ、あぁぁぁ!!!!!」 何度目か分からない絶頂を迎えて、体をビクビクと震えさせる。 ゆっくり引き抜かれるのも気持ちよくて、架院様の腕を掴んだ。 もっともっと、壊れるくらい俺を欲して…満たしてよ。 奥の奥に入れられて俺は、涙を流して喜んでいた。 心はずっと泣いていた、俺は自分自身が怖かった。 ーーー 目が覚めたらまた別の見知らぬ場所のベッドの上で寝ていた。 「…ここ、は」 「寮の一室を借りた僕の部屋だよ」 声を出すと喉がずきずきと痛かった、喉に触れて声のした方を向く。 そこには椅子に座る櫻さんの姿があって、帰ってたんだとぼんやりと考える。 あれ?なんで櫻さんが帰ってると思ったんだっけ…あれ? そこで俺は架院様の事を思い出して周りを見渡す。 そこには櫻さんと玲音しかいなくて、架院様の姿が見当たらなくて不安になった。 架院様の体温に包まれてないと俺、頭がどんどん可笑しくなる。 「架院様は?早く戻らないと…」 「何言ってんの?君、今の状況分かってる?」 「架院様!!架院様がいないと、俺…」 「親父、これって…」 「これが相性による危険な状態か」 櫻さんがなにか言っているが、そんなのどうでもいい。 俺は架院様の元に戻ろうとベッドを降りたらそのまま床に崩れ落ちた。 なんだ、これ…力を入れても足が全然…動かない。 櫻さんは俺の腰を掴んで支えてくれてそのままベッドに戻された。 「散々架院としたらそうなるよ」と櫻さんに言われて、俺の目を手で覆った。 するとだんだん眠くなってきて、ゆらゆらとしたまどろみの中…意識がなくなった。 ※玲音視点 瑞樹が運ばれた時、毛布で覆われていたがにおいで分かった。 瑞樹は架院としたんだ、でも瑞樹の手には指輪はなかった。 相性が悪いから契約出来なかったのだろうな…愛のない行為なのにこんな酷い事… いや、架院には愛はあったんだよね…もしかしたら相性って姫だけではなく相手にも影響されるのだろうか。 架院がいるのによく瑞樹を運べたなと聞いたら架院を無視して真っ先に瑞樹のところにいて架院と引き剥がしたと言っていた。 本人も架院との戦いを覚悟していたみたいだが、瑞樹が視界から消えた途端に倒れたそうだ。 どういう事だ?と変に思っていたが、瑞樹の起きた姿を見て驚いた。 瑞樹は黒い瞳だったのに真っ赤な瞳になっていて、少し見つめられただけでゾクゾクと興奮を感じた。 でも瑞樹は俺には興味がないのか目をすぐに逸らされた。 親父は力が強いからか引っ張られる事はないようだった。 架院をずっと呼ぶ瑞樹の異常さに心配になり、瑞樹を寝かせている親父に詰め寄る。 「親父、瑞樹はなんであんなに架院を…」 「姫の力が暴走しているのかもしれない」 「暴走なんてするのか!?」 「瑞樹は今までの姫達とは違う力が強い姫だ、見つめあった魔物を魅了してしまうのかもしれない」 親父は眠らせただけで、起きたらどうなっているのか誰にも分からなかった。 戻っているのか、まだ魅了し続けるのか…俺は勿論元の瑞樹に戻ってほしい。 架院しか見ない瑞樹は嫌だ、俺を見て…愛してくれるから俺は瑞樹と他の奴の契約を許したんだ。 なのに、なのに…それはただの地獄でしかない。 親父は指輪を瑞樹の薬指に嵌めて手の甲に口付けた。 親父、息子の前で息子の恋人に何してんだよエロ親父。 「今の瑞樹の状態は分からない、だから落ち着くまで契約はしない方がいい」 「…瑞樹を強くしなくていいのか?」 「………仕方ないよ」 親父はそう言い、俺に瑞樹を任せて自室を出ていった。 瑞樹はまだ眠っていて、手を握りしめて目を覚ますその時まで待った。 目を開けたらいつもの瑞樹でありますようにと願いを込めた。 いつの間に眠っていたのだろうか、日当たりのいい部屋で眩しい太陽の光に眉を寄せる。 吸血鬼は人間が考えた太陽の光とか十字架とかニンニクとかは効かないが、眩しいものは眩しい! 頭を優しく撫でられて、飛び跳ねるように起き上がった。 上半身だけベッドに乗せて寝ていたからよく寝れなかったが、眠気がすぐに吹き飛んだ。 「おはよう、玲音」 「……みず、き」 太陽の光に照らされて微笑んでいるその人は俺の大好きな人だった。 黒い瞳にホッと一安心して恐る恐る瑞樹を抱きしめる。 背中を撫でられて、本物の瑞樹が帰ってきたと喜んだ。 瑞樹が小さく「……痛い」と言ったからすぐに離れて床で正座する。 瑞樹は架院に連れてからの記憶がないようだった。 なにがあったのか聞かれたが、俺は瑞樹が傷付くかもしれないと何も言えなかった。 「でも、もう瑞樹にあんな思いさせないから!」 「あんな?」 「と、とりあえず架院に近付かない事!…ぁ」 瑞樹に架院の名前を出すのはまずかったかと思っていたが、瑞樹はキョトンとした顔をしていた。 瑞樹の中で俺だけが変な奴に見えるのかもしれない。 でも瑞樹を必ず守る、今度こそ…絶対に架院なんかに渡さない。 とりあえず架院と出会ってどうなるかは言わずに親父に説明された相性について瑞樹に話した。 今日はローズ祭、確か架院は参加しない筈だ…あの日は必ず… 瑞樹に近付いていいのは瑞樹の契約者と瑞樹が許した人物だけだ。 それ以外から瑞樹を守ろう、なにがあっても必ず…

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