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乾燥対策 ※平凡くん

「ちんぽって乾燥対策が必要らしいぜ?」  綾瀬はTwatterフォロワーの一人である「ぽっぽタケル」とのモクモクにて和やかに会話を交わしていた。だが飲んでいたルイボスティーを噴きだしそうになって、綾瀬はむせて咳きこむ。 「ぐはっ、なっ、ど、どういうことだよ!」 「落ち着けよ。皮とか乾燥して白くなったりしない?」 「……病院行けよ」 「童貞だから、病院行く前に対策しときたいじゃん」  童貞はつねに、剣の刃を渡るような危険な冒険を試したくなる、阿保なのだ。 「まず第三位がベビーワセリンなんだって」  へぇと少し納得する自分がいた。赤ちゃんでも使用できるのなら、敏感で過敏なちんぽにも塗れる。白く乾いた皮に最適じゃないかと、なぜかすっと水をのみ下すように納得してしまう自分がいた。 「第二位はなんだよ?」 「ニべ〇クリーム」  さすがだ。乾燥対策の定番だと、ちんぽも母なる香りに包まれて、パンのように渇いた皮へ潤いを満たしてくれる。  綾瀬の顔が期待の顔で明るなり、ごくりと喉を上下した。 「で、名誉ある第一位は?」 「オロナイン〇軟膏だってさ~」  タケルは満ち足りたような軽やかな声を漏らした。  なるほど、やけどや切り傷に効果的なオロナイ〇は後孔のほかに、ちんぽにも有効なのか。綾瀬は凛々しい眉根をよせて、心で深く頷いた。 「でもオロナインって匂い最悪じゃないか?」 「まぁ、それは使用するとき考えようぜ」  確かに隠された雄刃から青臭い若葉の香りが鼻をかすめるなんて最悪だ。それでも、だす機会すらないなら意味がない。 「……いや、やっぱり病院いけよ」 「はいはい、じゃあ俺ねま~す!」  タケルこと『ぽっぽタケル』はモクモクをそそくさと退出して、綾瀬の部屋はしいんと静まり返った。  部屋の窓からは濃淡を描いた宵闇がひろがってみえる。綾瀬はスマホの電源を切って、深い嘆息を漏らした。 (……はぁ、俺の脱童貞はいつになるんだ。とりあえず、ニベアとオロナインは部屋の目立つ場所へ置いとこう)  

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