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「――――あの……好き……て……どういう意味……?」  しばらく後にやっと出てきた、織田の言葉は、それだった。 「――――……片思いって言ってた、オレの好きな子って、女の子の事じゃないよ。 織田の事、思って、言ってた」 「――――……」  織田は、目をぱちくりさせて。  その後――――…… いきなり、かあっと、真っ赤になった。 「……っ?? ……ちょ、と、待って……」  ぱ、と手を離されて。  織田が目の前でオレに背を向けた。 「……っ?……高瀬……て、 オレの事……好き、なの?」 「うん。好き」 「……っ……オレ、男、なのに?」 「男だけど…… 好き過ぎて、もう、黙ってるの、無理」 「……あの……オレの気持ち……知ってるの?」 「――――……」  背を向けたままそんな風に聞いてくる織田の耳は、真っ赤で。  湯気でも出そうなほど、赤い。 「……お前の気持ち――――……」 「――――……」 「オレの事は好きだけど、結婚したいし子供もほしくて、だからオレと付き合うのとかは無理って、思ってる感じ? ……さっき織田が泣いたのも、オレの事、好きだって思うのは嫌なんだろうなって思って……」  そう言うと、織田は、くる、と振り返ってまっすぐに見つめてくる。  真っ赤なまま。 「何となくはあってるんだけど……トータルで、全然違う気がする……」  そう言った。 「……違うのか?」 「……う、ん。 大体は、合ってるんだけど……」 「――――……じゃあ、何が、違うんだ?」  織田は、考え深げに視線を揺らして、しばらく黙っていたけれど。  それから、ぽつぽつと、話しだした。 「……高瀬がオレを好きになる訳ないし……だから、今だけって最初は思ってて。結婚もしたかったけど、最近高瀬と居たい方が断然強くて、どうしようとは思ってたけど…… でも、それも、望んでるのオレだけだろうから、1人でそんな事思ってたって意味もないしって思ったりして ……すごく色々考えてたけど、オレ、高瀬の事を好きなのが、辛いんじゃない……」 「――――……」 「…… なんか―――……好き、すぎて、もう、どうしたらいいか分からなくなっただけ……」 「――――……」  織田の、その言葉に。  強張っていた体の力が、なんだか、抜けていく。  それなら、もしかしたら。  織田が、オレを、受け入れてくれる事もあるのかと、そう思えて。 「――――……オレ、絶対、叶わないと思ってたから……」 「――――……」 「……高瀬の言ってる好きって……ほんとに、オレの好きと、一緒なのかな……?」 「オレ――――……一生、お前と生きてくつもりで、言ってる」 「――――……つか、なに、それ」  織田は、また浮かんだ涙に、少し俯いて。 「高瀬って――――……何で、そんな、カッコイイの」 「――――……」  ……そうか?  こんな事で、泣いて――――…… かなわないと思ってた気持ちを抑えきれずに、いきなり告白して、好きだって後先考えず言って。  ……カッコいいとこなんか、無いけど。 「……高瀬……何でオレが好きなの、バレてんの……」 「――――……織田、分かりやすいから……」  そう言ったら、織田は少し困ったように、オレを見つめた。 「……オレ、あの……入社式からなんだけど……それも、知ってる……?」 「――――……そうなんだろうとは思ってた」 「……え、じゃあ、ほんとに、ずっと知ってたの……?」  恥ずかしすぎる、と視線を逸らす織田に、ぷ、と笑う。 「でもオレがお前を気に入ったのも、そこからだから」 「――――……高瀬、ほんとに、オレの事好きなの?……」 「好きだよ。……そういう意味で、ずっと好きだから一緒に居たんだって思えば、納得する事、いっぱい無いか?」 「――――……」 「どう考えても、普通同期にしないような事、オレ、お前にしてきてない?」 「――――……」  否定しない。  思い当たる事、いっぱい、あるだろう。 「……あの、高瀬………くっついて、いい?」 「え?」 「……くっつく」  そう言うと同時に。  織田は、オレに、ぎゅ、と抱き付いてきた。 「――――……っ」  一瞬で、どくん、と鼓動が跳ね上がって。 「……うー…… やばい、めっちゃ恥ずかしい、かも……」  真っ赤な顔をして。やっぱり離れる、と手を離そうとした織田を。  愛おしくて、たまらなくなって。  ぎゅ、と抱き締めてしまった。  

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