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◇
恐る恐る抱き合ってるみたいな感じで触れていたら。
「高瀬……?」
「ん?」
織田が、静かに、言葉を口にする。
「……ごめん、あの…… オレの事、ほんとに、好き、なの?」
「――――……」
よっぽど、信じられないんだろうなと思って。
腕の中に居る織田を少し離して、まっすぐ、見つめる。
「――――……好きだよ」
「……それってさ……友達……」
「じゃないよ」
「――――……」
「織田は……オレの事、好き?」
「……うん、好き。会った時から、ずっと好き」
「――――……」
恥ずかしそうではあるけれど、もうバレてると思っているのか、素直にそう言う。
――――……可愛すぎて。
絶対こんなふうに、言ってくれる時は来ないと、思っていたからこそ。
「あのさ……」
「……うん?」
「――――……オレ、すっごくキスしたいんだけど ……織田、嫌?」
「――――……」
ぼぼぼぼっと、顔から火が出た織田に、ふ、と笑んでしまう。
「――――……その反応って、良いって事?」
「……いや、なわけ……ないし」
「――――……」
そんな答えに、嘘みたいに、気分が舞い上がる。
「――――……織田……」
ゆっくり、近づいて。
軽く唇を、合わせる。
ゆっくり、ゆっくり離す。
「――――……オレが好きなの、こういう意味だよ」
「……うん」
ぎゅ、と抱きついてくる織田が、可愛くて。
「……なんか、夢、かなって、思うんだけど……」
「――――……絶対無理だと思ってたから……こっちこそ、なんだけど」
「……どうして、絶対無理? オレが好きなの、知ってたんでしょ……?」
「子供3人とか、言ってたろ」
オレの言葉に、織田は、じ、とオレを見つめてから、考え深げに、頷いた。
「あー……うん。まあ、何となく、ずっと思ってたから……」
「――――……」
「でもオレ途中から……言い聞かせてたかも……」
「……ん?」
「……高瀬はオレの事好きになってはくれないし、オレは、結婚して生きてくんだって、自分に言ってた……気がする……」
「――――……そか……」
しばらく無言で、視線をうろうろさせていた織田が、不意にオレを、おそるおそる、見つめてくる。
「……高瀬、あのさ」
「ん?」
「……高瀬ってさ…… オレと、そういう事、できるの?」
「――――……そういう事って?」
……って、そういう事か?
急に、それ、聞くか?
「……オレと……そういう……あの……」
言い出したくせに、どんどん赤くなって俯いていく。
……やっぱり、そういう事、か。
「……できる……と思うけど……」
「――――……けど……?」
けどの所で、不安そうになった織田に、苦笑い。
「違う、嫌とかじゃなくて」
すり、とその頬を撫でて。まっすぐ見つめた。
「オレ、ちゃんと知らないんだよな……。織田に告白するとかすら、思ってなかったし」
「……そういえば、オレもちゃんとは知らないかも……」
2人で、顔を見合わせて。
ぷ、と笑ってしまった。
「なんで、織田、知らないのに、できるかなんて聞いたんだ?」
「だって……それができないなら、付き合えないかな、と思って……」
2人で、んー、と困って見つめあって。
「……調べてみようか?」
「え。……まじで?」
オレが言うと、織田が、マジマジとオレを見つめた。
「ん。調べよ?」
テーブルに置いてあったスマホを持ってきて、2人で並んでソファに座った。
「織田、あのさ――――……」
「うん?」
ドキドキした顔で、隣に座ってる織田を、一旦じっと見つめた。
「オレ……なんとなく想像はつくんだけど……」
「……ん。オレも、何となく……」
「……とりあえず、オレ、1人で見る?」
「――――……ううん、一緒に見る」
「ん。じゃ、見ようか」
2人で、スマホ画面をのぞき込んで検索して、少し後。
画像や動画は生々しすぎると思って、文字だけのページを開きはしたのだけれど、織田にはやっぱり、刺激が強すぎたみたいで。
ぷしゅーと、音が出そうなほど赤面して、織田が崩れた。
太腿に肘をついて、そこに顔を埋めている。
何をするかは分かったみたいなので、とりあえず、織田を、ぽんぽんと、なだめつつ。
画面をしばらく眺める。
とりあえず、大体は予想通り。
あとは男だからこその、準備が必要、みたいな事とか、いくつか新たな知識を得た所で、とりあえず、スマホを閉じた。
「織田、大丈夫か?」
耳まで真っ赤で、つい笑ってしまう。
「……た、たかせ」
「ん?」
「――――……確認、なんだけど……」
「うん」
ちら、とオレを見上げて。
「――――……高瀬が……上?? でいい?」
そんな聞き方に、ぷ、と笑ってしまう。
「……織田が良いなら」
どう考えても、オレは触りたい方だと思うので、そう言うと。
「……高瀬が、オレに、こんな事、できるなら、それでいい……けど」
ぷしゅーーー。
……どんどん、赤くなって、俯いていく。
「で、…できる??」
「――――……」
出来るかっていう聞かれ方は、何か違う気がする。
「出来るとかじゃなくて――――……したい、と思うんだけど」
「――――……っっっ」
しばらくぽかん、とした顔でオレを見上げた織田は、また急に真っ赤になって、ずるずると、ソファの下に滑り落ちて行った。
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