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 恐る恐る抱き合ってるみたいな感じで触れていたら。   「高瀬……?」 「ん?」  織田が、静かに、言葉を口にする。 「……ごめん、あの…… オレの事、ほんとに、好き、なの?」 「――――……」  よっぽど、信じられないんだろうなと思って。  腕の中に居る織田を少し離して、まっすぐ、見つめる。 「――――……好きだよ」 「……それってさ……友達……」 「じゃないよ」 「――――……」 「織田は……オレの事、好き?」 「……うん、好き。会った時から、ずっと好き」 「――――……」  恥ずかしそうではあるけれど、もうバレてると思っているのか、素直にそう言う。  ――――……可愛すぎて。  絶対こんなふうに、言ってくれる時は来ないと、思っていたからこそ。 「あのさ……」 「……うん?」 「――――……オレ、すっごくキスしたいんだけど ……織田、嫌?」 「――――……」  ぼぼぼぼっと、顔から火が出た織田に、ふ、と笑んでしまう。 「――――……その反応って、良いって事?」 「……いや、なわけ……ないし」 「――――……」  そんな答えに、嘘みたいに、気分が舞い上がる。 「――――……織田……」  ゆっくり、近づいて。  軽く唇を、合わせる。  ゆっくり、ゆっくり離す。 「――――……オレが好きなの、こういう意味だよ」 「……うん」  ぎゅ、と抱きついてくる織田が、可愛くて。   「……なんか、夢、かなって、思うんだけど……」 「――――……絶対無理だと思ってたから……こっちこそ、なんだけど」 「……どうして、絶対無理? オレが好きなの、知ってたんでしょ……?」 「子供3人とか、言ってたろ」  オレの言葉に、織田は、じ、とオレを見つめてから、考え深げに、頷いた。 「あー……うん。まあ、何となく、ずっと思ってたから……」 「――――……」 「でもオレ途中から……言い聞かせてたかも……」 「……ん?」 「……高瀬はオレの事好きになってはくれないし、オレは、結婚して生きてくんだって、自分に言ってた……気がする……」 「――――……そか……」  しばらく無言で、視線をうろうろさせていた織田が、不意にオレを、おそるおそる、見つめてくる。 「……高瀬、あのさ」 「ん?」 「……高瀬ってさ…… オレと、そういう事、できるの?」 「――――……そういう事って?」  ……って、そういう事か?  急に、それ、聞くか? 「……オレと……そういう……あの……」  言い出したくせに、どんどん赤くなって俯いていく。  ……やっぱり、そういう事、か。 「……できる……と思うけど……」 「――――……けど……?」  けどの所で、不安そうになった織田に、苦笑い。 「違う、嫌とかじゃなくて」  すり、とその頬を撫でて。まっすぐ見つめた。 「オレ、ちゃんと知らないんだよな……。織田に告白するとかすら、思ってなかったし」 「……そういえば、オレもちゃんとは知らないかも……」  2人で、顔を見合わせて。  ぷ、と笑ってしまった。 「なんで、織田、知らないのに、できるかなんて聞いたんだ?」 「だって……それができないなら、付き合えないかな、と思って……」  2人で、んー、と困って見つめあって。 「……調べてみようか?」 「え。……まじで?」  オレが言うと、織田が、マジマジとオレを見つめた。 「ん。調べよ?」  テーブルに置いてあったスマホを持ってきて、2人で並んでソファに座った。 「織田、あのさ――――……」 「うん?」  ドキドキした顔で、隣に座ってる織田を、一旦じっと見つめた。 「オレ……なんとなく想像はつくんだけど……」 「……ん。オレも、何となく……」 「……とりあえず、オレ、1人で見る?」 「――――……ううん、一緒に見る」 「ん。じゃ、見ようか」  2人で、スマホ画面をのぞき込んで検索して、少し後。  画像や動画は生々しすぎると思って、文字だけのページを開きはしたのだけれど、織田にはやっぱり、刺激が強すぎたみたいで。  ぷしゅーと、音が出そうなほど赤面して、織田が崩れた。  太腿に肘をついて、そこに顔を埋めている。  何をするかは分かったみたいなので、とりあえず、織田を、ぽんぽんと、なだめつつ。  画面をしばらく眺める。  とりあえず、大体は予想通り。  あとは男だからこその、準備が必要、みたいな事とか、いくつか新たな知識を得た所で、とりあえず、スマホを閉じた。 「織田、大丈夫か?」  耳まで真っ赤で、つい笑ってしまう。 「……た、たかせ」 「ん?」 「――――……確認、なんだけど……」 「うん」  ちら、とオレを見上げて。 「――――……高瀬が……上?? でいい?」  そんな聞き方に、ぷ、と笑ってしまう。 「……織田が良いなら」  どう考えても、オレは触りたい方だと思うので、そう言うと。 「……高瀬が、オレに、こんな事、できるなら、それでいい……けど」  ぷしゅーーー。  ……どんどん、赤くなって、俯いていく。 「で、…できる??」 「――――……」  出来るかっていう聞かれ方は、何か違う気がする。 「出来るとかじゃなくて――――……したい、と思うんだけど」 「――――……っっっ」  しばらくぽかん、とした顔でオレを見上げた織田は、また急に真っ赤になって、ずるずると、ソファの下に滑り落ちて行った。

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