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◇待機*拓哉

 ……逃げられたなー……。  土曜、織田が帰って行って、1人の部屋で苦笑いと共に、思った事。  まあ。  思うに。  金曜の織田は、多分今までで一番酔っ払ってた。  酔っぱらって、訳が分からなくなったというよりは、  めちゃくちゃ素直になってた、て事なんだと思う。  普通なら色々考えるだろう事も全部とっぱらって、  感情だけ表に出てたみたいな。  もう高瀬んち来ないと言ったのも、その後泣いたのも。  普段の織田ならそんな風にオレにぶつけては来ない。  それをオレに、言えたのは、きっと、すごく酔ってたから。  でも、オレとしては、織田がそう言う事を言ってくれたから。  おかげで、好きだと言えたんだし。  ――――……付き合う話すらする前に、そうなってしまったのも、別にあの流れなら、全然良かった。  ……すげえ、可愛かったし、好きだから、抱いたんだし。  好きだって、言い合った後だったし、織田も、止めなくていいって言ったし。抱いてる間に、何度聞いても、大丈夫、好き、大好き、みたいに。ずっと、言ってたし。  ……もうほんと可愛くて、これから先ずっと付き合うものだと思って 抱いた。ので、オレの方は、あれで全然良かった。  のだけれど。  照れて、恥ずかしがって、多分、進みの速さに戸惑って混乱してて。  だから、1人で考えたいと言われて、すぐ、いいよ、と言った。  付き合いたい、という、大事なとこだけは伝えて。  考えるのを邪魔しないように、土日、連絡も取らなかった。  ……月曜朝は、まだ良かった、かな。    すっごいビクビクして、赤くなって、まだ、全然ダメそうだなーと思いながらも、可愛かった。  んだけれど。  火曜水曜木曜……進むにつれ、ますます、どうしたらいいか分からなくなっていったみたいで。まあそれも可愛いんだけど。  でも、あんまり無理矢理話しかけても、そろそろ泣きだしそうな気までしてくる位で。    まあでも……そうだよな。  と、ある程度は納得できた。  男同士だし。  織田は、抱かれてしまった方だし。  ……オレが織田に好きだと言ったのも初めてだから、それを、まだ完全には信じれてないかもしれないし。  多分、死ぬほど考える事があるんだろうなと思う。  ――――……んーでもな。  知り合ってから、織田がオレをまっすぐ見ないのは初めて。  笑顔も見せてくれないし。ちょっと、辛い。というのか、寂しいというのか。  恥ずかしがってるっぽいから、嫌悪とかじゃないと信じたいけど。  ――――……やっぱり、嫌、だったって事なのかなー。  と、ちらっと掠めたりもする。違うと、思いたいけど。  ――――……焦って答え求めても、とは思うんだけど。  んー。  どうすっかなあ……。  まあ、その間に、オレも色々考えはしてたから、まあ良かったんだけど。  オレの結論は、最初と一緒。  オレは、織田が好きで、織田が良いなら、織田と居たい。  ……ていう結論は、織田が大混乱してる間に、確立してるんだけどな。  明日は金曜。  ――――……あれからもう1週間。  混乱がドツボにはまって、どんどんひどくなってて。  もう、逃げられないように、家に連れて来た方がいいと思うんだけど。  来てくれるかな。  今日までの姿を思うと、拒否られそうな気もするし。  なかなか、今までない苦労の仕方に、苦笑いが浮かんでしまう。  ……まあ。  …………なんか、そんなのすら苦笑いが浮かぶし。  ちょっと、可愛い気がしてしまうのは。  普段の織田が好き過ぎるから、だろうけど。  さて。今日までは、待機してあげたけど。  土日まで、待機すんのは、さすがにちょっと嫌だな。  明日。どう誘うかなあ……。  ベッドに転がったまま、ふ、と息をついた。  

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