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◇高瀬の気持ち*圭2

「……男同士付き合うなんて初めてだしさ。こんなに好きになるのも初めてだから、どうにも、自分でも不思議なんだけど……でも、お前の事がすごく好きなのは、本当」 「――――……」  何かもう――――……夢、見てるみたいで。  ……なんか、ふわふわする。 浮いてるみたいな、気分。 「――――……オレ、一生……お前と居たいと思って、言ってる。  今のお前が、ちょっとでもそう思ってくれるなら――――……」 「――――……」 「……オレたち、付き合おう」  そう、言われた瞬間。 「――――……うん!」  すぐ、めちゃくちゃ笑顔で、頷いてしまった。 「てか、オレ――――……付き合ってほしいって、さっき、言ったし」   言ってる間にも、めちゃくちゃ近くに高瀬が居て。 「――――……織田」  ぎゅ、と抱き締められる。  心臓ドキドキしすぎて、高瀬に聞こえるんじゃないかと心配になる位。  というか、オーバーワークで壊れるんじゃないかと、またしても心配になる位。 「織田…… 可愛すぎ」  大好きな人に、まっすぐ見つめられて、そんな事、まっすぐ言われて。  口から心臓が出てきそう、なんて。どっかで聞いたような表現が、そのまんまあてはまるような、そんな気分。  高瀬と居ると、いつか本当に心臓壊れるかも……。  大きな手が、頬に触れて。そのまま、引き寄せられた。 「オレ、ほんとに、お前の事、全部好きなんだ……」  そんな風にまっすぐ言われて。  正直なとこ、泣きそうな、気分。  ああ、何かもう――――……   今だけ、とか。   どうせいつか冷める、とか。  そんな風に、誤魔化せない。  一生。  高瀬と、居られたら、いいな。  なんて、本気で、思ってしまう。 「んー……織田」 「うん?」 「……泊ってくよな?」 「――――……良い?」 「――――……当たり前」  言うと、高瀬はちゅ、と頬にキスしてきた。 「……シャワー浴びといで」 「――――……」  真っ赤になったオレに、高瀬はぷ、と笑った。 「……何想像してんの?真っ赤すぎ」  クスクス笑われて、ますます赤くなる。 「……あー、もう可愛いな、織田。なんでそんなに赤くなるかな」 「……っ……っ」  頭をなでなでされて。  くすくす笑われる。 「――――……なんか用意しとくから、一緒飲み直そ」  ぷに、と頬をつままれて。  微笑まれる。  なんか。  ここ数日。高瀬をまっすぐ見つめられてなかったから。  なんか、こんな笑顔、強烈。  心臓が、痛い……。 「バスタオルとか服おいとくから、先に入っといて」 「……うん」  優しくて。  ――――……カッコよくて。  …………はて。  オレの事好きなのは不思議だけど。  だけど。  ――――……好きでいてくれてるのは……  なんか、実感できて。  幸せ、すぎ。

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