101 / 235

◇旅行*拓哉4

「……ん、……ぅ……っ……」  あんまり激しくキスすると、いつも、縋るようにしがみついてくる。 「……た……か――――……っ……」  ああ、オレすっげえいま――――…… やばい。  めちゃくちゃ、しちまいそう……。 「――――……んン、う……っ」  なんでオレ、こんな一瞬で、こんなヤバいくらい、盛り上がってんだ。 「ん、……ん……っぅ…… 」  ――――……声、可愛い。  もう、キスだけで、織田が感じるのも、知ってる。 「た……っ……たか、せ……っ」  焦ったような声がして、顔をぶる、と振られる。 「――――……何……?」  キスを外されて、不満で聞いたら、焦ったように。 「……っしようと、して、る??」 「してる……」 「……待っ……っっ ごはん、さげに、きちゃうよっ」 「――――……」 「……食べないと、おかしい、よ……っっっ」 「――――……んー……」  さらに抱き寄せようとするのだけれど、じたばた織田が藻掻いてる。 「……たかせってば……っ」 「――――……っ」 「……オレ……も、したいけど……がまん……」 「――――……っ」  ――――……バカなのかな、お前。  そんな事言われると、衝動が増すばかり。  ――――…… 腕の中で、泣かせたい。 「……っ……あ、や、だってば――――……」 「……」 「……無理……むり……っ」 「……」 「……あとで……ゆっくり、……しよ?」 「――――……っっ……わざと?それ」 「……え」 「余計、おさまんないんだけど」  抱き寄せて、その首筋にキスした。 「……っ……わ、もう……っ……やだ、無理、高瀬……」 「――――……」 「っ来たらどうすんだよ、無理、そんなの気にしてできない」  わーん、とばかりに、焦って泣きそう。  ――――………は。 ちょっと、落ち着いた。  それでも、あんまり抵抗されたまま離すのも癪で。 「キスだけにする」 「――――……」  その唇を塞いで、緩く、キスした。  目を伏せた織田を見つめて――――…… 仕方なく、唇を離した。 「――――……ごはん、食べよっか」 「……あ。 ……うんっっ」  ものすごくほっとした顔をして、織田が、ぱ、と笑った。 「――――……そんな喜ばれるとなー……」 「ぇ。あ……ごめん……」  苦笑いの織田を、ぎゅーと、抱き締めて。  すり、と髪に頬を寄せる。 「――――……高瀬……ごはん、たべて、お風呂いこ?」 「……ん。そーする」  諦めて、手を離す。  織田が向かい側に座って。  まだ赤い顔で、いただきます、なんて言ってるのを見て。  ほんと可愛いな、なんて思ってしまうあたり。  自分でも不思議。  ――――……誰かを、こんなに可愛いって思う日が来るなんてな。  ……しかも、「男」に欲情する日がくるなんて。人生初の位の盛り上がりだし。  分かってる。夕飯食べ終わったら下げにくるし。  こんなとこで本気で最後までなんて、思ってないけど。  でもなんか、可愛すぎて、離すのが遅れてしまう。  と、織田が困り切った顔してるし。それも可愛すぎるんだけど。  ちょっと抑えないとなあ、と反省しつつ。    オレ――――……どんだけ、好きなんだろ。  織田の事。  知り合ってから今まで、ずっと可愛いと思ってたけど、  諦めていたから。  それが、叶ってしまうと。  どんどん、止まらなくなってる気がする。

ともだちにシェアしよう!