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◇幸せモード*圭 1
週末の旅行。
超楽しかったなあ……。
昨日は、オレの家に色々荷物を取りに行ってから、高瀬の家に行った。
荷物を置いてから夕飯を食べに出て、帰ってからは早めに一緒にベッドに入って、キスだけしてくっついて眠った。
朝はすっきり目覚めて、一緒に朝ご飯を作って食べた。すごく、穏やかな時間で。
2人でゆっくり歩いて会社に着いて、しばらく業務をこなしている所。
なのだけれど。
――――……幸せすぎて、 ついつい、思い出してしまう。
朝、一緒に歩きながら、高瀬が言った。
「朝から織田が居ると、元気になる。早く、引っ越してきな」
「契約したとこに聞いてみないと」
「早くな?」
と、言われて。 うんうん、と頷いていると。
ふ、と 高瀬が眉を寄せた。
「高瀬?」
「あのさ、もしそうだったらはっきり言ってほしいんだけどさ」
「……うん?」
「なんか、オレ、独り占めしすぎ?」
「え?」
「……もしかしてそうかなあと、ちょっと思って。オレんち引っ越して来て、とか。毎日うちに来てとか。 週末も居て、とか」
「――――……」
「オレと居てって、言い過ぎ?」
隣を歩いてるオレを、少しのぞき込むように、見つめられて。
きゅ、と胸が掴まれる。
「――――……嫌ならそう言えよ?」
言われてすぐ、ぶるぶると首をふる。
「嫌じゃないよ……ていうか、嫌な訳ないし」
「んーでも、なんかさ」
「?」
「……何か、オレ、自分でも超浮かれてんなーと思うんだよな……」
高瀬が、苦笑い。
「お前と会って、初めてこんなに誰かと一緒に居たいって思っててさ。多分超浮かれてて。なんか昨日の昔の写真とかも見てたら、織田はもっと他の奴とも居たいんじゃないかなとも、思って」
「……そりゃ学生時代とかは色んな集まりとか、いっぱい色んな人と遊んではきたけどさ……」
「――――……」
「今は、飲み会に高瀬が居ないと寂しかったりしてさ。……一緒に居てほしいのって、オレの方だし。でも、そういうの気にしてくれるのも、なんか嬉しい。ありがとね」
ずっとこっちを見ながらゆっくり歩いてた高瀬は、んー、と黙って。それから、ふ、と笑った。
「――――……なんかオレ、キスしたくなってきた」
「……っえ。無理だよ?」
普通の歩道なので、話が聞こえる所に人が居ない事は確認しながら話してはいるけれど。思わずちょっぴり引いてしまうと。
すると、ぷ、と笑いながら、高瀬が、肘をとん、とぶつけてきた。
「避けんなよ」
クスクス笑って言われる。
そんな風に少し触れられるだけで、とく、と胸が弾むって。
……オレもう、どうにもしようがないなあ。
その時。
ふ、と思い出して、ついでだから聞いてみる事にした。
「――――……高瀬はさ……前、結婚願望ないって言ってたじゃん?」
「ああ。言ってた」
「……今は?」
「漠然とした、結婚したいっていう願望は今もないよ。俺が結婚したいのは、織田だから、いつかなんかの形で出来ればいいなーっていう……」
「―――……オレとなら、してくれるの?」
「してくれるっていうか…… オレがしたいんだけど。一緒に暮らしたいって言った時も、そう言ったろ?」
ふ、と笑んで、見つめられる。
うん、オレも、したいなあ ――――……。
――――……などという朝の会話を思い出して、ぼんやりしたままトイレから帰ると。
「織田織田、 どこ行ってた。打ち合わせ行くぞ。あと10分だよ」
「あ、はいっ!」
太一に呼ばれて、慌てて準備。
しっかりしないと。
隣の席の高瀬が、落ち着いて、とだけ言って、ふ、と笑う。
うん、と頷いて、太一のもとへ。
「先輩、すみません」
「ん、大丈夫。トイレだった?」
「はい」
頷くと、太一がクスっと笑った。
「まあ、大丈夫だけどね。なぁ。週末、なんかいい事あった?」
「え?」
「なんか織田、フワフワして見える」
「え、そうですか?」
太一が、ぷ、と笑う。
「ほんと分かりやすくて、いいな、織田」
一緒に歩きながら、そんなにばれやすいかと、顔を引き締める。
……今日は高瀬とは別の打ち合わせで良かった。
平常心、平常心と、唱えながら。
そのおかげで、打ち合わせはなんとか、クリアした。
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