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◇金曜飲み会*圭 3

 ……んー。  ていうか完全に最初から合コン設定じゃんか、この飲み会。  今度からこういうのちゃんと確認しよ……。  ちら、と店の時計を見るけれど、まだお開きになりそうな時間ではなくて。  遅れてきたってのもあって、早く帰る理由づけもできないまま、周りと色々話しながら、少しずつ時が過ぎていく。 「ね、あの一番端っこの方にいる男の子見える?」  隣の女の子が話しかけてくる。 「――――……んー、見える、かな」  なんとなく。 人に隠れて、全部は見えないけど。 「あの人も、高瀬くんと同じで、超カッコイイって噂でね。だから今日は、イケメンが多い!て事で女子は盛り上がってて」  ……酔ってるのかなこの子。  そんなにオレに、女子事情暴露していいのか。まあ、きっとオレが対象じゃないって事だろうから、安心して聞いてられるけど。 「織田くんもさ、めっちゃカッコいいよね」 「ん……? あ、そう?」  急にこちらを向かれてそう言われるけれど、ありがと、と伝えて終える。なんか昔はこういうの嬉しかったし、その後付き合う事とかも、いろいろ考えたりもしたんだけど……。  ……今となっては、あんまり1人の子と話してて良い雰囲気に見られたりして、後で加藤とかに、高瀬の前で言われたりしたら困るし。と、そっちの事しか考えられない。  もう、楽しいというよりは、飲むしかする事がないという感じ。なるべく加藤の方を向いて話しながら。 「なんか織田、結構飲んでない? 大丈夫か?」 「うん。大丈夫」  ここのお酒、結構おいしい。  もう今日は、家までタクシーで帰ればいいや。  そう思って、色々絡んでくる女の子達に絡まれ過ぎないようにしながら。  お酒を楽しんでいたけれど。 「……ふー……」  なんか、ほんとに結構飲んじゃったかも。  ――――……良い気分になってきちゃったなあ。 「加藤、ちょっと外出て、電話してくる」 「んー」  席を立って、店を出る。  店の壁に背をついて、スマホを取り出した。  高瀬からの返信はまだ無かった。  まだ仕事かー……じゃあやっぱり、今日は会えそうにないか……。  まあ……明日会えればいいか……。  とりあえず少し冷ましたら、戻ったらもうノンアルコールで醒まそう。 「――――……」  高瀬に電話をかけて、数回コールを聞く。   『もしもし? 織田?』 「あ。高瀬……」 『ごめん、今ちょっと――――……後でかけ直す』 「あ、うん」  すぐ、切れてしまった。  ――――……後ろ騒がしかったから、周りに人がいたんだろうな。  とは思うのだけど。少しだけ、なんとなく、切ない。 「今まだ飲んでる。なんかちょっと思ってた飲みと違ってた。明日話すね。今日はタクシーで帰るから」  そうメッセージを入れて、送信ボタンを押した。  店に戻ると、知らない女子に腕を掴まれた。 「織田くん、一緒に飲もうよ」  掴まれた腕を無理に振りほどく事もできず、そのまま横に座ったけれど。  ため息つきたい気分って……何だろう。  オレ今ほんとに女の子に興味ないんだな……ある意味ちょっとヤバい気がするような……。でも高瀬といるなら、それでいいんだと思うけど……。 「織田くん、なに飲む?」 「あー……じゃあこれにしよっかな……」  結局、アルコ―ルがあった方が間がもちそうで頼んでしまった。  なるべく女の子と密接にならないように、周り皆巻き込んでの会話にしていたけど、なかなか疲れる。  ていうか今週、もう疲れてたのに……。  でも帰るにはまだ20時前だし。  21時までって言ってたから、とりあえずそこまでは居るか。しょうがない。  終わったら、高瀬に電話しよ……。

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