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◇幸せすぎ*圭 1

 シャツのボタンを外しながらも。  うー。ちょっと、眠い……。  脱衣所でしばらくぼーとして。  あ。シャワー浴びないと。  ふと気付いて服を脱いで、バスルームに入る。  シャワーを出して、ざっと浴びる。  一度シャワーを止めて、目の前の鏡の曇りを手でどけて、自分の顔を確認。  ……まだ少し赤い、かな。  疲れてんのに、結構飲んだからな……。  ――――……何か……今日高瀬と会えると思ってなかったから。  嬉しすぎる。  迎えに来てくれたのも、なんかすごく、嬉しかったし。  ――――……高瀬って、やっぱり、オレに甘いよな……。皆が言うけど、でもきっと、皆が思うよりももっと、高瀬はいっつもオレに優しくて、甘い。  普通、成人の男をあんなに心配しないよな。迎えにきたりしないよな。  オレってそんなに心配されるような感じに頼りないのかな。  ……まあ高瀬に比べたら、そうだろうけど。 「織田?」 「あ、なに?」  バスルームの外から声がかかってきた。 「シャワーの音してないけど……平気?」 「あ、うん。……ぼーとしてた」 「――――……オレ、入ってもいい?」 「え。 ……あ、……うん。いい、けど」 「……けど?」 「……ううん、良いよ」  ちょっと恥ずかしかっただけなので、すぐ言い直した。  急にかなりドキドキする。    温泉とかで、一緒に入ったりもしてたし。  いつも裸見られてるし。色んな事されてて、丸見えだし。  でも……なんか、家の、狭い密室に、裸で2人きりって。  やっぱり、ドキドキする。  ドアが開いて、高瀬が入ってくる。  んー……。カッコいい、なあ。  思うのだけれど、まあもちろん、直視はできない。 「織田、もう洗った?」 「ううん。まだお湯かけただけ」 「じゃ座って。シャンプーしてあげるから」 「え、いいの?」 「ん」  すぐ、高瀬の前にある椅子に腰かける。  優しい手が頭を洗ってくれると。  ほんとに、フワフワ気持ちよくて、眠ってしまいそう。  あーなんか……幸せすぎる気がする……。 「ちょっと待って」  高瀬が一瞬手を離して、ぴ、とボタンを押してる音。  アナウンスが流れて、浴槽にお湯をため始める。 「お風呂入んの?」 「うん。一緒はいろ」 「……ん」  頷くと、またシャンプーの続き。  しばらく眠気と闘いながら、フワフワ洗われて、シャワーで流される。リンスを髪につけられる。イイ匂い。 「はい終わり。 体、洗って」 「ありがと……」  めっちゃ気持ちよかった。  渡されたボディスポンジで、ぼーっとしたまま体を洗い終える。  隣で、頭を洗ってた高瀬が、ちょっと待ってね、と言って、泡を流し始めた。うん、と頷いて、目の前の、高瀬の背中を、じ、と見つめる。  ちょうどシャンプーを流してるので、見てても、バレないかなと思って。 「――――……」  背中、カッコいい。  ――――……背中から、ウエストからヒップラインまで。  めちゃくちゃ綺麗というか。なんだろう。このまま彫刻にできそう。  ……オレの背中ってどうなってるんだろ?  はた、と気付いて。  くる、と自分の背中を見ようとしてみる。けど。 うん、ちゃんとは見えない。分かってたけど。 「織田? 何してんの?」  前髪を掻き上げながら、高瀬が振り返って、くす、と笑う。  高瀬の背中が綺麗だったから自分のを確認しようとしたけど、全然見えなかった、て。バカすぎて言えない。 「ううん。何でもない……」 「そう?」  ふ、と笑って。  もう一度前を向いた、高瀬の背中をまた見ていたら。  ついつい、触りたくなって。  綺麗な肩甲骨に、ぴと、と触った。  ぴく、と高瀬が揺れる。 「……織田?」 「――――……あ、ごめん。くすぐったかった?」 「――――……どしたの」 「……ん、あの、綺麗だなーと思って……」 「――――……はー……」  高瀬が、シャワーを手に取って、オレを流していく。  ……はー、て何……??  そんな疑問を持ちながら。目の前の高瀬を見上げてると。  リンスも泡も流し終えてシャワーを戻した高瀬に、ぐい、と引き寄せられた。 「……オレさ、我慢してるんだよ。触ったら、ここでめちゃくちゃしちゃいそうだからさ」 「……っ……」 「……なんでそんな風に、可愛く触ったりするかなあ……」  色っぽい顔で、言った高瀬に、何も返せないでいるうちに。  唇が、深く、重なってきた。

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