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◇ドキドキ*圭

 んー……ほんと、カッコイイなあ。  瞳が開くと、余計にカッコいいけど。  この人はどーしてオレの事を好きなんだろうか。   ……可愛いって言う。  ……けど、可愛い女の子なんていっぱい居るしな。  ……和むって言ってた。  ……和む……? ……和む……ゆるキャラ的な……?  ……オレ、丸くはないよね……?   触りたくなるとかも、言ってたな。  ……触りたく……?  うーーーーーーーーん……??  ……なんで好きなんだろ??  オレは完全に一目惚れだし。さらに中身までかっこよすぎて、オレ側の好きは、ほんとに何回考えても、もうどうにもしようがないけど。  ……なんでオレを好きか、よくオレ考えてるけど。  結局よく分かんないまま終わるんだよな……。  ずっと一緒に居てくれようとしてるとか。  オレを見てくれる瞳が、すっごい優しいとか。  こんな風に、抱き締めて寝てくれるとか。  そういうのはちゃんと、感じる。  いつまでこんな風に居られるのかな。  ――――……年取っても、高瀬はカッコいいだろうけど。  ……オレは、どうなんだろう。  とりあえず、見た目気を付けて生きていこう。うん。頑張ろう。  ずーっと。  一緒に、生きていけたら、いいけど……。  上司たちに、ずっとあそこに居る人たちが何人も居るから…… もしかしたらずっと本社に居られるなら、ずっと一緒に働いていられるかも?    って……オレはほんと。 高瀬の事ばっかだな。  高瀬に会うまで、オレって、何考えて生きてたんだっけ。    彼女とデートしたり。友達と遊んだり。  その時々で、ずーっと、楽しいと思って生きてはきたと思うんだけど。  高瀬への気持ちって、なんか、他と比べて激しすぎて。  高瀬と、別れる事になっちゃったら、どうなるんだろう。  とりあえず、絶対泣いちゃうよなー。  うん。  うーん、と困っていると。 「――――……ぷ……」  ……ん?  ……何?  思って、見上げると。  高瀬が、クスクス笑っていた。 「高瀬……?」 「ん。おはよ、織田」  オレに乗っかってただけの腕が、きゅ、とちゃんと抱き締めてくれた。 「高瀬起きてたの?」 「少し前に目覚めて……。面白いなー、織田。色んな顔してた」 「……してた??」 「うん。ごめん、面白いから見てた」  くす、と笑った高瀬に、ちゅ、と頬にキスされた。 「……おはよ、て言っても、まだ真っ暗だな……何時?」 「……わかんない、時計見てない」  高瀬が、枕元に手を伸ばして、時計を見て。  くす、と笑う。 「まだ4時だな……」 「……ごめん、オレが、起こした?」 「なんとなく目が覚めた――――……喉、乾いたかな……」 「……お水持ってこようか?」 「……いいや。トイレ行って、水持ってくる」 「うん」  高瀬がオレを抱き締めていた腕を解いて、ベッドを抜け出た。  なんかもう動き全部――――……ほんと、カッコいいなあ……。  高瀬って、今でもモデル、できるんじゃないかな……。  かっこよすぎる……。  高瀬が部屋を出て行くのを、後ろから見送った。  ごろん、と俯せに転がって、大きな枕にしがみつく。 「んーーー……」  入社式で始まった片思いが、叶って。  ――――……好きだとか、言ってくれちゃって。可愛いとか言われて。  ……まさかの、変なやきもちまで妬いてくれるとか。  一緒に暮らそうって……言ってくれるのも。  ていうか、抱き締められて毎日寝るとか。  ……ほんと――――……夢みたいな感じ。  夢じゃないのかなあと、まだ、少し疑うくらい、嘘みたい。  戻ってきた高瀬に、水を差し出される。 「飲むだろ?」 「あ。ありがと」  むく、と起き上がると、キャップを開けて、一口飲んだ。 「おいしー……」 「ん」  くす、と笑いながら、高瀬がオレの隣に座った。  ……隣に座られるだけで、ドキドキする。  うぅ。心臓が……。

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