154 / 236
◇ドキドキ*圭
んー……ほんと、カッコイイなあ。
瞳が開くと、余計にカッコいいけど。
この人はどーしてオレの事を好きなんだろうか。
……可愛いって言う。
……けど、可愛い女の子なんていっぱい居るしな。
……和むって言ってた。
……和む……? ……和む……ゆるキャラ的な……?
……オレ、丸くはないよね……?
触りたくなるとかも、言ってたな。
……触りたく……?
うーーーーーーーーん……??
……なんで好きなんだろ??
オレは完全に一目惚れだし。さらに中身までかっこよすぎて、オレ側の好きは、ほんとに何回考えても、もうどうにもしようがないけど。
……なんでオレを好きか、よくオレ考えてるけど。
結局よく分かんないまま終わるんだよな……。
ずっと一緒に居てくれようとしてるとか。
オレを見てくれる瞳が、すっごい優しいとか。
こんな風に、抱き締めて寝てくれるとか。
そういうのはちゃんと、感じる。
いつまでこんな風に居られるのかな。
――――……年取っても、高瀬はカッコいいだろうけど。
……オレは、どうなんだろう。
とりあえず、見た目気を付けて生きていこう。うん。頑張ろう。
ずーっと。
一緒に、生きていけたら、いいけど……。
上司たちに、ずっとあそこに居る人たちが何人も居るから…… もしかしたらずっと本社に居られるなら、ずっと一緒に働いていられるかも?
って……オレはほんと。 高瀬の事ばっかだな。
高瀬に会うまで、オレって、何考えて生きてたんだっけ。
彼女とデートしたり。友達と遊んだり。
その時々で、ずーっと、楽しいと思って生きてはきたと思うんだけど。
高瀬への気持ちって、なんか、他と比べて激しすぎて。
高瀬と、別れる事になっちゃったら、どうなるんだろう。
とりあえず、絶対泣いちゃうよなー。
うん。
うーん、と困っていると。
「――――……ぷ……」
……ん?
……何?
思って、見上げると。
高瀬が、クスクス笑っていた。
「高瀬……?」
「ん。おはよ、織田」
オレに乗っかってただけの腕が、きゅ、とちゃんと抱き締めてくれた。
「高瀬起きてたの?」
「少し前に目覚めて……。面白いなー、織田。色んな顔してた」
「……してた??」
「うん。ごめん、面白いから見てた」
くす、と笑った高瀬に、ちゅ、と頬にキスされた。
「……おはよ、て言っても、まだ真っ暗だな……何時?」
「……わかんない、時計見てない」
高瀬が、枕元に手を伸ばして、時計を見て。
くす、と笑う。
「まだ4時だな……」
「……ごめん、オレが、起こした?」
「なんとなく目が覚めた――――……喉、乾いたかな……」
「……お水持ってこようか?」
「……いいや。トイレ行って、水持ってくる」
「うん」
高瀬がオレを抱き締めていた腕を解いて、ベッドを抜け出た。
なんかもう動き全部――――……ほんと、カッコいいなあ……。
高瀬って、今でもモデル、できるんじゃないかな……。
かっこよすぎる……。
高瀬が部屋を出て行くのを、後ろから見送った。
ごろん、と俯せに転がって、大きな枕にしがみつく。
「んーーー……」
入社式で始まった片思いが、叶って。
――――……好きだとか、言ってくれちゃって。可愛いとか言われて。
……まさかの、変なやきもちまで妬いてくれるとか。
一緒に暮らそうって……言ってくれるのも。
ていうか、抱き締められて毎日寝るとか。
……ほんと――――……夢みたいな感じ。
夢じゃないのかなあと、まだ、少し疑うくらい、嘘みたい。
戻ってきた高瀬に、水を差し出される。
「飲むだろ?」
「あ。ありがと」
むく、と起き上がると、キャップを開けて、一口飲んだ。
「おいしー……」
「ん」
くす、と笑いながら、高瀬がオレの隣に座った。
……隣に座られるだけで、ドキドキする。
うぅ。心臓が……。
ともだちにシェアしよう!