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◇星空と*圭

 車を駐車場にとめて、プラネタリウムの入り口に到着。 「高瀬、チケット買ってくる、待ってて?」 「ん? オレも」 「今日はオレが出すって言ったじゃん。待ってて」  一緒に来られるとまたさりげなく出されてしまいそうで、高瀬には待ってもらい、オレは1人でチケット売り場に並んだ。  どこで待ってるのかなー、なんて思いながら見回すと、宇宙のイラストを見上げてる高瀬を発見。  あ、居た居た。  ――――……なんか、一生懸命上見てて、ちょっと可愛い……。  なんて一瞬思ったのだけれど。 「――――……」  なんか離れて見ると、高瀬の周りだけ別の空間みたいに見える。  ただ立ってるだけなのに、カッコいいし。  すれ違う女の子が、振り返ったり。  後ろ姿だけなのに、なんか目立ってて。  漫画じゃなくて、そんな事ってほんとにあるんだなあ……。  ……ていうか、オレの一目惚れだって、もう漫画みたいな一目惚れだったから、もう、何も言えないけど。 「――――……あ」  視線の先で、高瀬が女の子達に話しかけられている。  わー、やっぱり一緒に来れば良かった、とオレが狼狽えた時、高瀬は少しだけ笑みを浮かべて、静かに首を振った。  ……あ、なんか、大丈夫そう。  案の定、それ以上女の子達は話しかけられなかったみたいで、高瀬の側を離れていく。  ――――……慣れてそう。話しかけられるのも、断るのも。  遊んでたという頃は、受けてたのかなぁ。……好みの女の子だったら。  そもそも高瀬の好みの女の子ってどんなんだろ? そういう話した事あったっけ。綺麗な子っぽいなあ。  ……まあ、あんまり話したら、ちょっと落ち込みそうだし、聞くのはやめよーっと。  そもそもオレの好みだって、高瀬には全然関係ないもんなー。  ていうかオレは、もはや、女の子の好みが思い浮かべられないレベルになってるし。  そんな事を考えて、可笑しくなってきてしまう。  ちょうどその時、自分の番になって、大人2枚のチケットを購入。  今月のプラネタリウムの特集のパンフレットを貰って、高瀬の元に戻る。 「おかえり。ありがと、織田」  チケットを受け取りながら、ふ、と笑ってくれる。 「うん。もうすぐ時間だから、中入ろ?」 「ん」  チケットを係の人に渡して、中に入る。  独特の、空間。  真ん中にプラネタリウムの機械が置いてあって、天井がすごく高い。 「どこらへん座るのがいい?」  高瀬に聞かれる。 「どこでも大丈夫だよ。映画みたいに見やすいとかそういうの無いと思う」 「じゃあ一番後ろ」 「うん、いーよ」  高瀬に言われるまま、一番後ろの席に座って、上を見上げる。  高瀬も同じように上向いた後、ふと、オレを見た。 「すごい楽しみ」 「……うん」  どき。と、心臓が弾む。  オレも、高瀬と見れるとか。すごい楽しみだし、嬉しい。  幸せをじーん、と噛みしめていると。  始まりを知らせるアナウンスが流れて、出入り口のドアが閉まった。   非常口の説明が終わると、光っていた非常口のライトも消えて、真っ暗になった。  と思うと太陽が現れて、明るくなって、陽が落ちていって、綺麗な夕陽。街に灯りがついていく映像。それから、空が暗くなって。まばらな星空。  これが東京で見える星空です、と説明がされて。  それから、本当の星空は、という説明とともに、満天の星空。  ――――……綺麗。  普段も、こんなに星空見えればいいのに。 「キレイだな」  高瀬が、こそ、と囁いてくる。  暗いけど、すぐ近くの高瀬の顔は見える。  優しい、笑顔。 「ん」  微笑んで頷く。  ――――……あ、なんか暗いから。  高瀬に触っても、誰にもバレないかも……。  とか一瞬思ったけど。  いやいや、何言ってるんだ、オレ。  なんかもういつでも触りたいってもう。  星に集中しよう、プラネタリウム久しぶりだし。  ちょっと反省しながら。  星を見上げていたら。 「……手、つなぐ?」  くす、と笑って囁く高瀬。 「つなぐ」  即答したら。ぷ、と笑われて。  ゆっくり、手に触れて、軽く繋がれる。  ――――……触れたいって思ってたから。  ……嬉しすぎ。  しかも。  なんか。  つなぐ?て、聞いてくれるのとかも好き。  ちょっと触れてるだけの、優しいつなぎ方も。  ……全部好き。  一緒にプラネタリウム見れてうれしーなー。なんて。  しみじみ想った。

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