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◇コーヒー豆*圭

 簡易ベッド、ほんとに簡易な安いのを注文して、配達を頼んだ。  あまりにスムーズにお金出そうとするから、待って待ってと止めて自分で払わせてもらった。というか。高瀬、なんか、そういうとこ、カッコ良すぎると言うか。なんというか、自然すぎるというか。  今までも女の子達にそうやってきたのかなあと思うと……。  うーん。ほんとにモテそう……。  モテそう、じゃ、なくて。  ……モテすぎだよね。  今、高瀬とオレは、ベッドを買い終わり、マグカップと食器もいくつか揃えて買ってきて、途中で通りかかったオシャレなカフェでコーヒータイムなのだけど。  なんだろう、世の中の女子って、イケメン好きだよな。  好きじゃない子、居るのかな。と考え中。  恋愛対象にイケメンはいらないとか言ってた女友達は居たなぁ。  モテすぎて、浮気の心配とかしてらんない。誠実なのが一番、とか言ってたなあ。なんて、変なことまで思い起こしてしまう。  なんか、言ってしまえば今もただ、コーヒー、飲んでるだけなのに。  高瀬、どーしてこんなに絵になるかな。  大体、カフェの店員さんだって、明らかに、ドキドキしてる感じの、可愛い声で話してた(気がする)し。  周りの子達も、ちらちら見てくるし。  恋愛対象として、イケメンは嫌な子はいるかもしれないけど、カッコいい人を見るのも嫌って子はいないのかも。 「なんかここ……」 「え?」  高瀬がコーヒーを置いて、テーブルに片肘をついてそのまま、少し口元を隠す感じにするから、耳を寄せると。 「……すごい可愛い店入っちゃったよな」  苦笑いを含む声で囁いて、オレが顔を見ると、ふ、と笑ってる高瀬。  高瀬って、全然人の目を気にしないよなぁ……。  今気になるのは、店の雰囲気かぁ。  まあ、確かに。  くる、と周りを見渡すと。  テーブルも椅子も白でオシャレ。カーテンもひらひらレース。メニューとかも、すごく可愛い感じ。落ち着いた雰囲気というよりは、ひらひらしたレースっぽいイメージの店。一歩踏み入れた時気づいたんだけど、もう店員さんが来てて、断れないまま、入ってきたんだけど。  中に入ると、まあ、女子ばかりで。  しかもなんか、丸いテーブルがいくつも並んでるから、隣とかすごい見えるし。仕切りがないんだよね、ここ。だから余計、視線も飛んで来放題、ではある。 「でもコーヒー、美味しくて良かったね」  言うと、高瀬がくす、と笑う。 「ああ、そういえば……」  高瀬は言いながら、さっき閉じたメニューをまた開いて、一番後ろのページをオレに見せてくる。 「コーヒー豆も売ってるって」 「あ、ほんとだ」  香り、苦味、コク等で評価されてて、色々な種類が紹介されてる。 「織田、家で飲んでみたいのある?」 「んー……そだなぁ……苦くないやつ、ブラックで飲んでみたいかも」  オレがそう言うと、高瀬がメニューから顔を上げてオレを見つめる。 「ブラック飲みたい?」 「うん。高瀬が飲んでるからさ、一緒に。でも、苦いと無理なんだよね」 「そっか」  高瀬は、ふ、と笑うと、もう一度メニューに視線を落としてから、「これは?」と指で指し示す。 「苦味なくて飲みやすくて、香りが良いって」 「うん。じゃあそれ」 「了解。買って帰ろ」 「うん」  豆が決まると、高瀬はメニューを片付ける。  一緒にコーヒー豆を選んで、家で一緒に飲むとか。  ……嬉しすぎる。  なんて思ってしまう。 「――――……」  ……何だかなあ。  スーツの高瀬がカッコよくて、一目惚れしたけど。  私服の高瀬も、この上なく、カッコいい。  これは……。  一体何がこんなにカッコいいのかな。  オレは、コーヒーを飲みながら、ちらちら高瀬を見てしまう。

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