「高瀬と会社の席、隣同士なの？」 「うん、そう」 「高瀬、ちゃんとまじめにやってんの？」 「やってるよー。ていうか、超優秀な人だから。入社式の時、代表で挨拶してたし」 「えっ、そうなの？？」 「ほんと高瀬ってそういうの言わないよな」 　皆が、織田に質問の嵐で、織田はウキウキそれに応えてる。 「……別に挨拶したくなかったし、そんなの言わねえだろ」 　オレがそう言うと、皆はオレを見て、やれやれと首を振る。 「入社式で挨拶するとか言ったら、絶対皆に言うよなぁ？　だってすげーじゃん」 「そう言うの言わないし、ていうか、したくないからとか……」 「はーやだやだ、カッコつけて……」 　続けざまに言う皆をかわるがわる見つめていた織田が、その後、じっとオレを見つめてから。 「ていうか、カッコいいよね。高瀬」 　クスクス笑って、そんなことを言う。 「カッコつけてないけど、カッコいいからすごいよね」 　ご機嫌で言う織田に、「織田くん、分かってるー」と、女子が握手を求めてる。 「男子はやっかみ入ってるよね～その点、織田くん、超素直ー」 「織田くんて、年一緒？」 「え？？　うん、高瀬と一緒」 「可愛いから、もしかしたら年下なのかと思っちゃった」 　あはは、ごめんーと、まあ大体にして酔ってる皆が笑う。 「可愛い……って言われた」 　と言いながら、織田がオレを見て、苦笑い。 　……可愛いからな。まあ、女子達が言うのも、すげー分かる。　 　とは、ここでは言わない。 「何、織田くんは、高瀬を崇拝中？」 「崇拝……うん、まあ、ある意味してるかも」 　あはは、と笑って、女子と楽しそうに乾杯してる。 　何だか女子と妙に意気投合してるな……。 　割とずっとオレに背を向けて、向こう側と喋ってる織田の背中を、見つつ。 　面白いなと観察してしていると、たまに振り返って、楽しそうに笑う。 「高瀬の仲間、面白いね」 　クスクス笑ってそんなことを言う。 「会社の拓哉って、織田くんから見て、どんな感じ？」 　オレの隣から、誠が織田に聞いてる。 「織田のこと質問攻めにするなよな」 　静かにツッコむと、織田は、全然平気、と笑って。 「んー、高瀬はねえ……会社の高瀬は……すごい仕事できるし、頼りになるし、カッコいいから、超モテるよ。ていうか、隣のフロアーの関係ない子たちも高瀬のことカッコいいって言ってるし」 　クスクス笑いながら、べた褒めしてくるし、それを聞いて、女子はやっぱりー、と盛り上がってるし。 　男子は、「そういうのが聞きたいんじゃないんだよー」「もっと面白い、ネタみたいなの無いの？」とか聞いてるし。 「……無いよー、高瀬だよ？？　ずっとカッコいいし」 　あははー、と笑って、言い放つ。 「オレは、逆に、高瀬の学生時代の話が聞きたいなあ」 　ぽろ、と言った織田の言葉に「はいはい」と、手を上げる皆に、眉が寄る。 「……余計なこと吹き込んだら、後で呼び出す」 　オレが言うと、周りが、えっとオレを見て。 　そしたら、織田が、面白そうに笑い出して。 「オレは、面白いのが聞きたい～でもそれでもカッコいいと思うけど」 　なんてクスクス笑いながら言ってる。 　なんか織田は……まあ、分かってはいたんだけど。 　改めて、最強な気がする。