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◇いつから? *圭

 で、結局。  一人でシャワーを浴びることになった。  バスタオルとか用意しとくからもう入ってていいよ、と優しく言われて、言われるままバスルームに来た。  今週はほんと忙しかった。  でもって、最後の飲み会は……なんかめちゃくちゃ楽しかったなあ。  高瀬ってクールなのかと思ってて、あんまり友達とかと騒いでるイメージなかったんだけど、なんかいい意味で、あの仲間は、仲良しみたいだった。  思ってた通り、最初はクールだったみたいだけど、なんかその部分も含めて、あの人達は皆、高瀬のことが好きそうだった。  ……なんか嬉しい。  まあよく考えれば、同期とかとも仲良いし。  まあでもやっぱりクールな感じは保ってるんだけど。皆一目置いてる感じだし。  はー。ほんと、カッコいいよな。高瀬って。  オレと、付き合ってくれてるとか。もうほんと奇跡というかまだ夢みたいな気もしちゃう。  一生分の運、高瀬とのこの関係に使っちゃってもいいなとも思うんだけど、やっぱり、ちよっとは残しといて、このままずーっと高瀬と仲良く元気に生きていけたらいいなとか。願いすぎたらだめかなあ。  でも、神様、お願い。ずっと居られますように。  ……って、やっぱちょっと酔ってるかな? オレ。  苦笑いが浮かんで、そのままシャワーで顔にお湯を浴びた。  ちよっと顔を引き締めてから、バスルームから出る。下だけはいて、髪をタオルで拭いていると、高瀬がドアを少し開けて、「入っていい?」と声をかけてくる。 「うん、いーよ」  なんか今更ダメとか、無いんだけど。 「オレもすぐ、シャワー浴びてくるから。待ってて」 「うん。行ってらっしゃい」 「ん」  クス、と笑われる。  オレが頭を拭いて、ドライヤーをかけ始めた横で、全部脱いで、バスルームに入っていく後ろ姿を、見送った。  ……今。超、後ろ姿、ガン見しちゃった……。  カッコよすぎる。めちゃくちやお尻の形とか、足とか、綺麗というか。  はっ!  ……何言ってんだオレ。  かぁぁぁぁ、と顔が一気に熱くなる。  プルプル首を振りながら、ドライヤーでひたすら髪を乾かす。  ……あーもう馬鹿。オレ。  適当に乾いたところで、ドライヤーを片付けて、タオルを洗濯機に入れてから、脱衣所を出て、キッチンに向かう。  コップに水を注いで、一気に喉に流し込む。  オレって、ほんと、高瀬、好きだなあ。  ……後ろ姿だけなのに、あんなにガン見しちゃうってー。わーん。変態なのかー? 何だかなぁ。もう。  ……そもそも、オレ、男は対象じゃなかったんだから。  高瀬は大大大好きだけど、男の体見て、ひとりで真っ赤になってるとか。  もう、昔の自分からしたら、もう、謎でしかないんだけど。  でもなぁ……高瀬の指。綺麗だなーてとこから、そっちに想像がいっちゃったり。お尻カッコいいとか。見ちゃったり。  んん。ちょっと、待って。  そういえば、高瀬を好きになってから……そういえば、女の子のそういうのとかも全然見なくなったような。    オレ、今、例えば女の子に迫られるとかあったら、そういう気分になるのかな? ふと気になったら、ますますどうなんだろーと、思い始めた。  そういえば、会社で、女の子は割と同じフロアにも居るし、食堂とかでも居るし。でも、オレ、ぜんっぜん、女の子、そういう意味では目に映してないな。というか、男もまったく映ってない。  あれれ。これいつから??  うーん、と考えてみる。

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