220 / 235
第222話◇キュン死?*圭
いつからだっけと考えてみると、高瀬のことしか見てないのは……入社式、からだ。
その後は、ずーっと、高瀬だけ、見てたかも……てなると、もう長らく、高瀬のことしか、見てないな。
そう考えると、オレの、「高瀬のこと大好き熱」って、激しすぎ……? ひゃー、でもだって、カッコよすぎるし、優しいし、もうなんか、ほんと大好きすぎて。しょうがないと思うんだけど、これ、気持ち悪がられたりしないかな、マジで。うーん……。
むむむ、と考えながら、もう一杯、お水を飲んで、コップをカウンターに置いた時。
「……織田?」
「ひゃぁ!!」
いつの間にやらすぐ隣に来ていた高瀬の声に、滅茶苦茶飛び上がる。
「――――……」
プッと吹き出されてしまう。超笑われたと、固まってるオレに、そのまま笑いながら。
「ごめん、オレも、水くれる?」
「っ……このコップでいい?」
「うん」
オレが水を注ぐのを見ながら笑っていた高瀬は、ありがと、と受け取ると、その水を飲みほした。
間接キス……とか思うのはもう、頭沸いてるかな。さっきもキスしたり色々してて、こんなこと今更、かもしれないんだけど。……でも意識しちゃうんだよう、好きすぎてー。
あほみたいに心の中でうろたえてるオレを、水を飲み終えた高瀬が、見つめなおした。
「そんで? 何をずーーっと、ぼーーーっとしてたの? 呼んでも全然気づかない位って」
「え? 呼んでたの?」
「今、織田が気づいたの、三回目だよ」
高瀬の声が聞こえないなんて、オレどんだけ? と狼狽えた所で、超至近距離にいる高瀬に気づいた。
「――――……」
お風呂上りの、なんだか凄絶に色っぽく見えてしまう高瀬が、クスクス笑いながら、オレの頬をぷに、とつまんだ。
ひゃぁぁ……。
なんかもう、体温が二倍くらいに跳ね上がる気がする。
水も滴るいい男って。
こういう人を見た人が作った言葉なんだろうなと、またまた思う。もう何度目だ。
わーん、なんで、こんなに激しくカッコいいんだろう。
高瀬は、ふ、と笑って、オレをじっと見つめる。
「もー、可愛いなー……」
ちゅ、と頬にキスされる。
「――――……」
好きすぎるー……。
ドキドキしすぎるー……。
「織田、可愛いって言われるの、嫌?」
「……嫌、ではないけど……恥ずかしい、かも……」
「前、別の言い方考えとくとか言った気がするんだけど、オレ」
触れてしまいそうなくらい近くで、高瀬がオレを見つめながらクスクス笑う。
「可愛いしか、出てこないんだよなー……」
優しい瞳が緩んで、そんな風に言われると、もう何も言えない。
胸がー心臓がー……。
ふっと、「キュン死」するってどっかで見たことあるけど、ぜったい こんな気分だ、間違いない、とか、もう、なんかへんなことしか、頭に浮かばない。
「仕事してる時とかは、織田のこと、普通にカッコイイって言う子もいるんだろうなって、思うんだよね」
言いながら、頬に触れてる手が少し頬を擦って、その親指が、顎に触れる。
ドキドキで死にそうになって、ちょっと俯き加減だったオレを上向かせて、真正面から見つめて、高瀬は、ふ、と笑んだ。
「でも、オレと居る時は、もう可愛いしかない」
「――――……」
かぁ、と、顔が熱くなる。
ていうか、わざと? わざとだよね、オレを真っ赤にさせようとして、やってるよね? わーん、もう、思うがままに真っ赤になる気がするんですけど。もう。
「……なんか赤い」
すり、と頬に触れて、高瀬はクスッと笑う。
ともだちにシェアしよう!