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第13話 カップリングテスト(*)
二階のクリスの部屋に入ると、日差しが少し陰ってきていた。
潮風が、夕方の涼しくなった空気をゆっくりと運んでくる。
「カップリングテストって」
奈斗は背後にクリスがいることを意識しながら、部屋の天蓋付きのベッドの傍らまでやってきた。
「どうすれば、いいのか、わからないんだけど」
「そこに座って、全部任せておけばいい。嫌なら蹴飛ばしてくれ」
指示されたとおり奈斗が天蓋のカーテンを開けて、ベッドサイドに腰掛けるとクリスは奈斗を見下ろしたあと、そっと屈んで、奈斗の唇を奪った。
掠めるようなキスに、心臓がトコトコと走り出す。角度を変えて、数度くちづけられたあとで、そのまま押し倒されると、天蓋のカーテンが真上に見えた。
「あの、どこまで……」
確か前戯と言われたけれど、どこまでするのか確認してなかった。奈斗が口を開くと、唇を指で押され、「しーっ」と言われる。静かにしろという合図だが、奈斗が驚いたのは、不安より期待が勝っていたせいだった。
耳朶を甘噛みされ、せっかく着たばかりのドット柄のシャツのボタンを上から三つほど外される。するりと手が入ってきて、密かに凝っていた乳首を片方、クリスの指が静かに探った。ハーフパンツの前をそっと押されると、恥じらいが逆流するように、奈斗の顔へと襲ってきた。
「いい反応だ。嫌じゃないか……?」
「い、やじゃ、な……っ」
クリスは奇妙な光を宿したアイスグレーの眸で、奈斗を射たまま、ゆっくりと愛撫を進めた。初めてのことなのに、クリスの手が心地いい。快楽を掘り起こされ、時にそれは奈斗の予測を凌駕するものになった。
「っ……」
息を詰めて、なるべく声を出さないようにしていたら、「我慢するな」と言われて、噛んでいた指を舐められる。それだけで変な声が出そうになり、紅潮した顔でクリスを見ることすら恥ずかしくなってゆく。
ハーフパンツの前を開けられ、下着の中で反応をはじめた奈斗の屹立を、クリスが直接
掴む。先端の弱いところを爪でこそげるようにされ、双玉を揉まれると、たまらなく気持ちが昂った。
やがて奈斗の勃起したそれを、クリスに扱かれ、声が出てしまう。
どうしようもないところまで追い上げられて、奈斗はついに陥落するような声を上げ、白濁を噴き上げた。
「はぁ……っ、はぁ……っ、はぁ……っ」
ハレーションを起こしたように脳裏が真っ白に染まり、一瞬だと思うが、物を考えられなくなる。気がつくと、クリスに見下ろされながら、奈斗は軽くイッた状態を晒して、腰をくねらせていた。
奈斗の吐き出したものを、クリスが丁寧に舌で清める。そのまま奈斗の前にクリスが左手を持ってきて、言った。
「キスを……」
同時にクリスが奈斗の左手を取り、ゴールドの指輪にくちづけたので、奈斗もそれに倣う。
すると、やにわに刻まれていた文字が発光し、空間に螺旋を描きながら浮遊しつつ、絡まっていった。
「え……?」
驚いていると、クリスもまた、驚愕の表情をしてそれを見ていた。
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