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第23話 2021*服従する者・支配する者(*)
シャワーを浴びながら互いのいいところを探り合うのが、サイレントは好きだ。
互いに距離感を確かめ合う意味もあり、水滴の中での前戯は甘いのが常だった。相手の良さそうなところを感覚を研ぎ澄まして触り、反応を確認して、踏み込む領域の深さを決める。駆け引きの最初の一歩は、少しぐらい甘え過ぎても相手が許してくれるところが良かった。
カッツは紳士的で、どこまでもサイレントの我がままを聞いてくれようとする。痩せぎすだと思っていた身体には、脱ぐとしっかり引き締まった筋肉が付いていた。
だが、サイレントの思うように、ことは運ばなかった。
「待っ、自分でする……っ」
「駄目だよ」
後孔を洗浄するので出て行って欲しいと訴えたところ、カッツが眉をひそめたところから、それははじまった。
「私に全部任せなさい。きみはボトムでしょう? させてください」
「でも……っ、ん」
言われて唇を奪われる。丁寧だが、やけに執着的な動きをする舌が、サイレントの口内を犯した。舌の付け根を吸われると、頭の後ろが痺れたみたいになる。髪を梳く手は優しいのに、どこか荒々しく劇的だった。
「後ろを向いて。お尻をこちらへ突き出して。……それとも、無理矢理おさえこまれて出させられた方が好き?」
「っなわけ……」
「じゃあ、言うとおりに」
耳朶を噛んで囁かれると、腰が砕けて膝が震えた。カッツの声は紳士的なのに、有無を言わせない迫力を孕んでいた。
「きみみたいな赤毛のそばかすが、どんなに私を興奮させるか、知らないようだ」
「ぁ……」
腰を抱かれて、前から足の間に手を入れられ、その指が後孔をそっとなぞった。きゅっと窄まった場所に、久方ぶりに触れられて、襞を乱されるように指先で弄ばれると、もう何をされても逆らえない気がした。
「欲しくないの? 私はきみが欲しいよ」
その途端、サイレントはカッツに全てを握られていることを自覚した。
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