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第25話 2021*羞恥心マイナスゼロ(*)
「ぁあぁっ……! だ、めぇ! それ、やめぇ、っ!」
「ん?」
サイレントが叫ぶと、カッツは抜き去ったプラグの代わりに親指を入れてぐりぐりと中で回した。
「嫌? でもこっちは喜んでるみたいだね?」
「あ、あっ」
前を扱きながら排泄することが、こんなに恥辱にまみれた多幸感をもたらすことを、サイレントは初めて知った。腰がうねって欲しいと身体がねだっている。カッツは柔らかくなった後孔に突き立てた親指を左右に回して弄んでいたが、やがて音をさせて抜くと、うなじや肩に触れるだけのキスをしてきた。
「はぁ、っん、ん……」
シャワーの雨に打たれながら、カッツにされてしまったことを反芻する。
「ど、して」
「ん?」
「どうして、おれだったの……」
カップリングテストなんて言い訳でしかない。本当は誰でも良かった。少なくともサイレントにとっては、あの浜辺から連れ出してくれるなら、声をかけてくる最初のトナカイに付いていこうと思っていた。
でも。
「きみのような鼻っ柱の強そうな子ほど、快楽に負けた時、可愛くなることを知ってるから」
自分じゃなくてもいいと言われたようで、傷ついたサイレントの肩口をカッツは甘噛みした。
「おれが……赤毛だったから?」
「いいや。きみが可哀想で、可愛かったからだよ」
「ぁ……っ」
歯を立てられると、そこから甘い痺れが伝ってくる。どうということのない口説き文句なのに、カッツに言われると、本気にしたくなる。もしも世界に救い主がいたら、きっとこうしてあやすのだろうな、とサイレントは思った。
「可愛いきみが、私は好きさ。それとも、一回イッたから、冷めた? もうやめる?」
私はそれでもいいよ、とカッツは哀しそうに言った。
「やだ」
身体が欲しがっているのは事実だったが、もうそれだけじゃない。愛されたかった。最初から、イヴデモにきた時から、世界にひとりきりでいいから、カドのぴったり合う相手が欲しかった。
「じゃ、私を中に入れさせて。そしたらきみの好きな直腸でもしようか?」
「え……?」
カッツはサイレントの身体を起こすと、シャワールームから連れ出した。
「今日はクリスマスイヴだし、きみにもプレゼントをあげたいな」
「っ」
プレゼント、の響きに、胸が高鳴る。サイレントはもう少しで言ってしまいそうな言葉を飲み込むと、バスタオルで身体を覆い、その上から抱きしめてくるカッツに腕を回した。
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