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第26話 2021*乳首(*)
バスタオルに包まれたままベッドへ運ばれる。天蓋付きのキングサイズのベッドに乗るのは久しぶりのことで、カッツに抱かれるのは初めてだった。
カッツはバスタオルで水滴を丁寧に拭き取ると、やがて胸の二ヶ所にある尖りを、指でくじいたり舌で突ついたりし出した。くにくにと揉まれてぷくっと勃ったところを、爪でくじかれると声が出そうで困った。
「きみが私を気に入ってくれたならいいんだが。もしも気に入ってくれたら、もっと虐めてあげるよ」
「ん、くぅ、ふ、ん、ん……」
こくりと頷いてみせると、カッツはどこか嬉しそうに微笑んだ。
「もっと欲しいかな?」
「ん」
「おねだりするなら、もっとあげよう。言ってごらん。何をどうして欲しいのか」
「はぁ、あ、ぁ」
「ん?」
カッツが柔らかく乳首を揉み込む。指の腹でそうされるのも好きだが、爪で引っ掻かれるのはもっと好きだった。腰を回してねだっているのに、カッツの屹立も見えるのに、なかなか先に進んでくれなくて焦れてまった。
「きみが可愛いから、虐めてあげたくなるよね」
そんなことを言いながら寝る相手は今までいなかった。少なくとも、優しく抱いてくれるか、少し乱暴にするものの、最後は甘やかすか。こんな風に焦らされて、芯が熱するのを炙り上げるような抱き方は、されたことがない。
「い、じめ、て……」
「うん」
「ちくび、いじ、って、欲しい……っ」
「うん。もっと?」
「もっと……くにくにって、引っ掻いて、たくさん吸って欲しい……っぁあぁぁっ!」
純粋に快楽にまみれた声が出てしまった。一度出てしまったら、もう抑えることが困難な種類の声。
「もっと先に進んでも、いい?」
「ぁっ、あ! ん、っ、いい……っ!」
甘い媚びを含んだ、自分のものとは思えない叫び声。それを促す甘美な愛撫。カッツがぢゅうっと音を立てて乳首を吸い上げる。
「お願い……っ、欲しい、っ」
腰をもじつかせてサイレントはねだった。
「悪い子だ。そんなに直腸したいの?」
揶揄するような口調の底に、サイレントを気遣う優しさが透けていた。もう恥も何も蕩けてしまう、とその時、思った。最初に暴かれた時から、密かにこうなることを予期していた気がする。
「し、たい……したい……っ、お願い……っ!」
「いいよ。直腸、しよっか」
「んっ……」
ナットの指に髪を梳かれる。
サイレントはその瞬間、生まれ変わったことを知った。
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