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第27話 2021*甘い毒(*)

「は、ぁあぁっ! あん、ん、んぅ……っ! く、ふぁ、はぁっ、ぁん、んぁんんっ!」  乳首を吸われるたびに切なくなって、前歯で時々甘噛みされるともっと欲しくなった。カッツが何者でも、どこかで見た面影など、微塵に吹き飛んでしまっていた。ただ、目の前の愉悦を追いかけることでしか、カッツを知る術はないような気がして、サイレントはその海に半ば自ずと溺れた。 「はぁ、好き! それっ、んぁあっ! あーっ……! あ! 好きぃ! もっとぉ!」  声を出すたびに何かが壊れていく。表の顔だったり、見栄だったり、礼儀正しさだったり、距離の取り方だったり。そうしたものが剥がれ落ちて、ただのひとりの人間になる。悦楽を追うだけの肉体になっていく気がした。 「ぅぁん! あぁっ! 好きぃ……っ、好き! 好き……っ!」  瞬間、何か熱くて質量のあるものが身体の底から湧き出てゆくのを感じた。 「あ──……っ」  射精していた。みっともなく腰を振りたくり、乳首だけでイッてしまっていた。 「あ、あぁ! 出ちゃ……っ、で、ちゃったぁ……!」  いつの間にか全力疾走より必死に呼吸をしていて、気がつくとカッツの背中に爪を立てていた。 「あぅ、ごめっ……」 「……謝らなくていいよ。きみ、素敵だね」 「はぁっ、はぁ……っ」 「そろそろいいかな?」  何がとは言わなかったが、意図は読めた気がした。サイレントが膝を開くと、カッツは二、三度軽く咳払いをして、自分の屹立を確かめるように扱いた。それから、気がついたというようにサイレントの左手を取って、自らのものに指を触れさせた。 「きみの中を、奥まで抉るものだ。よく形を覚えて。これが今から入るけれど、怖くないようにね」  大きさもあったが、長くて逞しいものだった。先端が銛のように翻って、抜けない構造は誰もが同じはずなのに、どこか凶悪な硬さをしていた。 「もう怖くない?」 「は、い……」  自然、敬語になっていた。カッツはそれを聞くと、また少し寂しそうな笑みを見せ、それからひたりとサイレントの後孔に先端をあてがった。 「きみに入れるよ、サイレント。この小さな孔が開いてめくれて、赤く咲いた薔薇のようになるまで、ここを好きなだけ犯そう。きみが泣いても、直腸までいくからね? 一番奥で、出してあげる」  妊娠しちゃうかもね、と笑いながら言われて、サイレントはなぜか胸がぎゅっとなった。  その意味を悟る前に、カッツが挿入ってきた。

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