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第28話 2021*直腸(*)
「ぁ──ぁっ、ぁあぁっ……!」
銛のような先端が突き刺さり、その返しの部分がサイレントの内壁を抉った。激しい挿入に思わず泣き声になったが、カッツが途中でやめないだろうことはわかっていた。
まず少し入れて引き、もう少し入れてまた引く。そうして何度も寄せては返す波のように少しずつ挿入っていった。途中でいい場所を掠めると、どうしてか鳴いてしまって、取り繕おうとするたびにカッツに止められて、首を横に振られた。
「だめだよ。好きなら、好きって言いなさい」
「やぁ──っ、好き! 好きぃ……!」
「私も数人相手を変えたが、きみのように好きな子は初めてだ……っ」
「あぁっ!」
好きな子、と言われて、スキモノという意味だろうか、と心が陰る。しかしその瞬間、じゅぱん、と音がして、奥までおさまったような気がしたら、今度は深い場所を重点的に責められて啼いた。
「ぁ、あっん、んん、んぁ! っん! ふあ、っあ! ああっ、んあぁっ!」
もう意味のある言葉を言えないほどに、崩れていくのがサイレントにはわかった。カッツとのセックスは、どうしてかすごく曖昧になる。奥をたくさん突かれるうちに、まだ未踏の地があることを、身体が予感しはじめる。
「はぁあ、っ、あぁあっ、んぁあっ、あっ、あ! やぁ! や、やあぁっ!」
これ以上続けられたら狂ってしまいそうな悦楽があった。蕩けるような快楽に全身が包まれて、どこを触れられても気持ちよすぎてイきそうになる。
「どうしてそんなに意地を張るのかな。きみ、好きでしょ?」
「んんっ! あぁぁっ!」
「「や」だなんて言葉は、使っちゃダメだよ。本当に嫌な時以外は。ね? サイレント」
「あ、んんっ! ごめ、なさ……っ、好き! 好きだから……っ」
「うん。いい子だね。……わかる? 奥が開きかかってるの。直腸が降りてきてて、段々私の先端を受け入れようとしてくれてるの、わかる?」
「わかっ……っ! わか! わかるぅ……っ! して! してぇ……っ!」
正常位で交わっていた体位を、そっと身体を持ち上げられて、対面座位にされる。そうすると、奥だと思っていた場所にカッツの先端がめり込みはじめるのがわかった。その、奥。その、先の、もっと奥に。
「最初だから、ゆっくりするね?」
「ん、ん、っ、ぅぁー──っぁあぁぁあぁっ!」
ずぷん! と音がしたような気がして、その瞬間、カッツの先端がめり込んだのがわかった。苦しい。けれど、何とも言えない甘美な悦びが刹那、サイレントを襲った。身体がびくん、と反応し、ざわっと得体の知れない愉悦が腰骨の奥から湧いてくる。中が痙攣を繰り返し、今まで誰にも侵されていなかった最奥を明け渡した奇妙な達成感とともに、ふわっと身体が浮き上がる気がした。
「きたね、直腸……っ、きみ、中、狭いね……っ」
そう耳元で呻いたカッツの声が、次第に小さくなってゆくのに気づいたサイレントだったが、数度呼びかけられた声に応えようとしたところで、意識が途切れた。
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