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第二章 獣人の国と少年 (二十一-後)

干しながら夜宵はココに声をかける。 「ココ、そういえばココって何歳なの?」 「つい先日十歳になりました」 「え!そうなの!?仕事できるし大人っぽいからもっと歳上かと思ってた!」 夜宵とほぼ同じくらいの身長であるココは、普段夜宵の身の回りの世話を手伝ってくれている。落ち着いた振る舞いから同じくらいの歳を想像していた夜宵はかなり驚いた。 「ありがとうございます。仕事は五つの時から働いているので、やりながら覚えました」 「五つ……五歳!?まだ小さい子供じゃん!」 「そうでもないですよ。ヒト族より獣人の方が成長は早いみたいですし、五歳にもなれば働くには十分です。十二歳で成人なので社会勉強の一環にもなりますし」 「成人十二歳なの!?」 いちいち驚く夜宵に、ついにはココも吹き出し、近くで聞いていたシルヴァンも吹き出した。 真っ赤になる夜宵の頭にポンと手を乗せたシルヴァンは 「今度ちゃんと教えるよ」 とわしゃわしゃと撫でながら言った。 「シルヴァンは?何歳なの?」 撫でてくる手を辿り目を合わせる。 「二十二歳だ」 「わあ、すごい大人」 年齢だけはな、とシルヴァンが苦い笑みを浮かべたことに疑問を抱いたが、それについて問うのはやめた。 「夜宵は……」 「数え間違えてなければ十五歳だよ」 「十五か。……ん?ヒト族は成人の年齢が獣人より上だったよな?」 「成人は確か十八だったかな」 十八、と夜宵が口にした途端シルヴァンが目を見開いて固まった。 どんどんと血の気が引いていくようで、顔色が悪くなっていく。 夜宵がシルヴァンの名を呼んでも反応がない。 「俺は……子供に手を……」 洗濯物を干す手を止め、シルヴァンにギュッと抱きついた。 「いいんだよ。僕だってみそらと一緒に居たかったし、その、ちゃんと合意、だから……」 「夜宵……。お披露目を兼ねて早いうちに結婚式をと思ったが、生憎結婚自体は成人してからでないと出来ないと法律で決まっているんだ。早まらなくて正解だった」 夜宵が見上げると、その顔に不安の色が見えたのかシルヴァンは優しく微笑み夜宵の背中に手を回して抱きしめた。 「お披露目はするぞ。夜宵は大事な俺の番だからな。成人するまで待ってるから、夜宵が成人したらちゃんと式を挙げよう」 「うん……!」 「ヤヨイ様、ヤヨイ様のご年齢であれば結婚前でも番になることと子を授かることは許されるのでご安心を」 「ちょっと!ココ!?」 怒ったように見せたものの、ココの言葉に少し安心した夜宵だった。 「あ、そうだココ、急で悪いが明日から俺がいる騎士団に入団してもらうからな」 「「え?」」 顔だけ振り返った夜宵とその視線に立つココは目を見合せた。

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