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第7話

「森永さんの本当の依頼ってこれですか?」 「はい!今日一日、そのお姿で私と買い物をして欲しいんです!」 まじか。 その言葉以外は正直、出なかった。 確かに、着替えた自分の姿を見た時は自分でも驚くほど似合ってはいた。 男子トイレで着替えている時も、個室からなぜか女の子が出てくることで驚いていた周りの様子を見ても自信を持っていいのだろう。 けれど屈辱的だ…! そしてなにより… 「森永さん、こういったものは事前に言ってもらわなきゃ困りますよ」 「あ、す、すみません。依頼する際にお伝えしようか悩んだのですが、断られると思って…」 「んー…まあ、何でも屋なんで断りはしませんが…こう、心の準備的なものが…」 ミツリが彼の考えを読んで知ったのはこのことなのだろう。 何が面白いから教えないだ。少し腹が立ってきた。 俺が色々と考えていると、森永さんのテンションはみるみるうちに下がっていき、しょんぼりした表情になってしまった。 「すみません。どうしても綾人さんにその服を着てもらいたくて…。事前に言わなくてすみません。この依頼は綾人さんが嫌であればキャンセルで大丈夫です…。本当にすみません」 「森永さん…」 なぜか彼のガッカリした様子を見て良心が傷んでしまった。 彼はこの日のために、服やヴィックを選んで用意してくれたんだ。 どんな形であれ、彼の希望に答えるのが何でも屋の務めじゃないのか…? 俺は決意し、彼へ伝えた。 「安心してください。驚いただけで、断りません。依頼内容によっては、心の準備もそうですが、料金が変動するのもあって事前に教えていただきたかっただけです」 「え、それじゃあ…」 「今日は良い一日にしましょう!」 「!!」 また彼の表情は明るさを取り戻した。 よく自分は甘いとミツリに言われるが、こういう所なのかもしれない。 そして二人で街の方へと足を運ばせた。

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