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ええから
「アアアアッ……ハッ、ハッ」
湧き上がる欲情を頭から白い液として吐き出した僕は荒い息を整えようとやっきになる。
「今日もいっぱい出たね」
覆い被さっていたようちゃんはズリュッという独特な音を立てて、僕の中から大きいモノを取り出した。
「本当に君は愛おしすぎる……壊したくなるくらい」
ようちゃんはまた赤い瞳になって僕を睨む。
僕の身体は固まったように動けなくなった。
こんなことをしなくてもいいのに。
射精後、5分は動けないんだから。
「ごめん、やっぱり僕短気だから殺しちゃうね」
ああ、そうか。
その時が来たんだ。
「覚えてる? 血を吸い尽くして、皮と肉は全部食べて、骨はしゃぶってあげるってやつ」
舌なめずりをして、いつもの眩しい笑顔を見せてくれた。
「うん、お願い、し……ます」
なんとか声を絞り出した僕は目を閉じる。
「お望みのままに、マイハニー」
ふふふと笑ったようちゃんはあの時のように右肩を掴んだ。
肉が裂け、尖った牙が隙間を埋める。
溢れるはずの血液がようちゃんの口内から体内へスムーズに流れていく。
大丈夫、あるべきところへ還るだけだから。
あの日、ようちゃんに出会った時から決まったシナリオだから。
僕は彼とひとつになり、溶けていった末に彼の血と肉になる。
それのどこに不満があるのだろうか。
僕はようちゃんのものなのだから。
「……っ……ァッ……」
気持ちいい。
触れたい。
でも、悪魔の目の強い力で身体は動かないし、声も上手く出ない。
「……ァ……ッ……」
もどかしいな。
「謝ってんの?」
右耳に鋭く低い声で急に囁かれたから、ビクッと身体が震える。
「それとも、助けを求めてるの?」
クスッといたずらに笑うようちゃん。
どっちもちがうよ。
「謝っても、やめんよ」
ようちゃんはジュッと強く吸う。
「助けるわけないでしょ、御前家の奴なんて」
ケンオカンを示すように吐き捨てられた。
そっか。
そうだよね。
僕は納得してカンゼンに力をぬいた。
身体も声も。
すると、感じたことのないくらいの気持ちよさに包まれた。
本当の楽園。
"そろそろ、現したら? 御前の本性"
出会った時のように頭に響く、甘くて低い声。
"言っちゃいな、本音を……怒らないから"
ようちゃんが言うなら、しょうがないね。
「好き」
「大好き」
「愛してる」
「僕はようちゃんのもの」
「もちろん、ようちゃんは僕のものだ」
一気に言い放つ。
「な……んで?」
めずらしくとまどった声が聞こえてきた。
「はやく殺してほしかった」
「しあわせがこわかった」
「ようちゃんの……いちぶに、はやく」
あれ、息が……きれ、てきた。
「もう、ええから!」
温かいものにさらに包まれた感じがした。
僕はもう、無敵だ。
これからもいっーーーー。
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