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しらない
しらない。
こんなのしらない。
あたたかくて
やわらかい
これがやさしさなのか。
ピンクのカレはほんとうに楽園へつれてってくれるのだろうか。
まぁいいや。
カレとならどこへでも。
ゴトン
チカラなくつめたいところへおとされたのがわかった。
ああ、さっきのはユメだったんだ。
いや、ここが楽園か。
さっきよりはいい死に場所みたい。
「そんな憎いならさ、マーにぃ。殺してあげてよ」
マーにぃってだれだろう。
「頭の傷、つけられたんだよね。復讐してやったら?」
ああ、その人もか。
ぼくはなんとか目をすこしあける。
キミドリ色の髪の人がきっとマーにぃ。
マーにぃは口をまげてちかづいてきた。
「御前のにんげんか。へぇ~」
シナサダメするようにぼくを見ている。
「あなたにも、ぼくが"視えている"んですね」
この人もきっと、いい人。
「なにいってんねん、あたりまえやろ。いま、かえしてやるからなぁ」
手を伸ばしてすこしうえにした。
ぼくの身体がなぜかもちあがり、顎をみせる。
マーにぃはニヤッと笑い、手をギュッとにぎった。
すると、ブルブルと身体がゆれはじめた。
目からも口からも水がながれるけどたいしたことない。
何回か父上のしじでで電気をあびたことがあるから。
ぼくはきがくるっているからって。
つよくなったけど、ぜんぜんだいじょうぶ。
うらんでいるなら、もっとやってよ。
いつの間にか電気が止まっていた。
「こんなもんで、いいんですか?」
ぼくはヨインでピクピクとふるえながらも、笑っていた。
「おまえ、そのままやとたりょうしゅっけつでしぬねんで!」
やった人なのに、なぜかほえている。
多量出血、それなら。
「血ならだいじょうぶです。ねぇ、ピンクさん」
あとはよろしくね。
「はーい。俺が綺麗に全部吸ってあげるさ」
ピンクのカレはボロボロの服をビリビリして、チュプチュプとすっていく。
「なに、してんねん」
「血をすいつくして、皮と肉は食べて、骨は御前家におくっていただけるとヤクソクされましたので」
すらすらと言うと、マーにぃの目がいっしゅんゆれた。
「そんなことをいって、ゆるされるとおもうなよ」
キッとにらむ顔を見て、そうだろうなとおもう。
それだけのことをあの家は平気でするから。
「ゆるされようとはおもっておりません。ぼくはずっとくるしめられるだけですから」
さぁ、どうぞとぼくは口のはじっこをあげた。
「よう、どうにかしてくれ」
なにをまよっているのだろう。
うらんでいるならコロせばいい。
それだけなのに。
「遠慮なく殺したらいいじゃん。その後、俺がもらって永遠に俺のものにするから」
右手でぼくの頭をなでて、ふふふと笑うピンクのカレ。
この笑い声が最後まで聞いていたいな。
最後になくなる感覚は聴覚だから。
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