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ある日、森の中⑦

 そのまままた唇を塞がれ、シャツのボタンに余った方の手を掛けられた。  何で僕、この人にこんな目に遭わされてるんだろう?  ......本当に、最悪な気分だ。  しっかりと手を掴まれ、更に腰に乗られて完全に身動きを封じられてしまった僕の瞳を見つめたまま、ひとつ、またひとつとボタンが外されていく。  やるなら、好きにすればいい。  ......絶対に声をあげたり、よがってなんかやらない。  抵抗をやめ、マグロのように体を投げ出すと、課長は戸惑ったように一瞬だけ手の動きを止めた。 「なるほどな。  我慢して、なるべく早く終わらせようって事?」  言いながら、半分だけ僕のシャツを脱がした状態で、胸に触れられた。 「マジで、楽しみだよ。  お前が不様に喘いで、泣いて俺にねだる姿を見るの」 「ホント、馬鹿なんですか?  ......そんな事、あるはずが無いじゃないですか」  僕の言葉に、再び課長の口角が上がる。  そしてニヤニヤとゲスな笑みを浮かべたまま、カリカリと爪先で胸の先端を掻きむしられた。  たったそれだけの事で、まだアルコールの残ったままの僕の体はいやらしく跳ね上がろうとして、死にたくなる。  でも絶対にこの男にそんなところを見せたくなくて、僕は目を閉じ、ただこの悪夢のような時間が終わる事を願った。 「......久米君、分かるか?  ここ、もうすげぇ固くなってるぞ?」  胸の頂を摘ままれ、捏ねられ、そして次の瞬間ぬるりとした暖かな感触が、そこを襲った。  くっ......、舌だよな、今の絶対。  コイツ、一体何処まで僕の事を辱しめたら気が済むんだよ?  でも僕は、抵抗をすればするほどこの男を喜ばせるだけだと思い、声を殺して与えられる刺激に耐え続けた。 「可愛いな、お前。  声出すの、我慢してんの?」  ねっとりと、しつこいくらい何度も何度も舌を這わされ、軽く甘噛みされる。  初めて与えられるその快楽に僕は戸惑い、ただ小さく震えた。 「声を出さなきゃ勝ちとか、思ってるのかも知れないけどさぁ。  ......ここももう、固くなってる。  感じてるんだろ?  素直に言えたら、もっと良くしてやるよ」  ぐっ、と乱暴に膝で足を割られ、グリグリとそのまま擦り上げられる。 「んっ......ぁっ......!」  意識が完全に胸にいってしまっていた僕は、情けないほどあっさり当初の意志を砕かれ......そして甘い声をあげた。

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