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全部、熱のせいだ⑧

「お前、マジで凶悪だな。  ......熱が下がったら、覚悟しとけよ」  口では意地の悪い事を言いながらも、触れる手はどうしようもなく優しい。  そして今あそこに触れているのが僕の手ではなく、この人のモノなのだと思うと嬉しくて、自然と笑みが溢れた。 「んっ......、ふぁ......んんっ!」  彼の体にしっかり手足を絡め、与えられる快楽に溺れる。  そんな僕の事を抱き締めて、課長は忌々しげに舌打ちをひとつした。    キスをしながら、彼の手のひらが僕の敏感な場所を包み込み、刺激していく。  弱いところはもう知られてしまっているけれど、あの夜とは違い焦らすような真似はせず、ただ甘く優しく、僕に快感だけを与えてくれた。  でも、足りない。  こんなのじゃ、全然我慢出来ない。  彼に無理矢理抱かれた時の事を思い出しながら、何度も自分で後孔を弄るうち、そこも触らないと逝けないようになってしまった恥ずかしい体。  絶対にこんな事、いつもの自分なら言うはずがないのに。  彼のもう一方の手を掴み、そこに導くと、泣きそうになりながら課長を見下ろしたまま、淫らな言葉で誘った。 「課長......お願い。後ろも、して?  あなたのせいで、僕は前だけじゃもう逝けなくなっちゃったんだから。  ......責任、とってよ」  すると彼は吃驚した様に僕の顔を見上げ、それからさっき以上に大きな、超特大の溜め息をひとつ吐き出した。

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